2026.10.30 update

“鷹栖プルービンググラウンド”が、令和8年度「自然共生サイト」に認定

2026年10月30日、北海道の鷹栖町にあるHondaテストコース“鷹栖プルービンググラウンド”において実施している生物多様性保全活動およびその実施区域が、地域生物多様性増進法に基づく「自然共生サイト※1」として認定されました。
Hondaは、環境省が主導する「生物多様性のための30by30アライアンス※2」に2022年4月より参画しており、Hondaの所有する敷地が「自然共生サイト」として認定されるのは、2023年10月“モビリティリゾートもてぎ”、2024年9月 “埼玉製作所 完成車工場”に続き、3カ所目となります。

※1 「民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域」を国が認定する区域で、
  OECM(Other Effective area-based Conservation Measures)として国際データベースに登録される

※2 2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として保全する国際的な目標が、生物多様性条約第15回締結国会議(COP15)での採択された。
  この目標を達成するために環境省主導で「生物多様性のための30by30アライアンス」が設立された

鷹栖プルービンググラウンド
鷹栖プルービンググラウンドの敷地内の自然

2026年10月30日、北海道の鷹栖町にあるHondaテストコース“鷹栖プルービンググラウンド”において実施している生物多様性保全活動およびその実施区域が、地域生物多様性増進法に基づく「自然共生サイト※1」として認定されました。
Hondaは、環境省が主導する「生物多様性のための30by30アライアンス※2」に2022年4月より参画しており、Hondaの所有する敷地が「自然共生サイト」として認定されるのは、2023年10月“モビリティリゾートもてぎ”、2024年9月 “埼玉製作所 完成車工場”に続き、3カ所目となります。

※1 「民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域」を国が認定する区域で、OECM(Other Effective area-based Conservation Measures)として国際データベースに登録される
※2 2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として保全する国際的な目標が、生物多様性条約第15回締結国会議(COP15)での採択された。この目標を達成するために環境省主導で「生物多様性のための30by30アライアンス」が設立された

広大な敷地を有する“鷹栖プルービンググラウンド”には58種もの希少種が生息

“鷹栖プルービンググラウンド”は、 1996年に北海道旭川市の北に位置する鷹栖町にHondaのテストコースとして誕生しました。世界54種類の過酷な道路を忠実に再現した最先端の開発拠点であるこのテストコースは、敷地面積789haと東京ドーム約169個分という広大さで、西側が山地の森林ゾーン、東側が平地のテストコースゾーンと大きく2つのエリアに分かれています。その敷地内には山地、平地、川や池の水辺など様々な自然環境が含まれていて、1年の半分近くは雪が降る寒冷地であり、四季に合わせて変化する植物や動物たちの姿を見ることができる自然豊かな場所です。

2025年、この地を調査して確認された動植物は1,245種にのぼり、そのうち希少種は58種で、希少種の数はHondaが所有する「自然共生サイト」認定の敷地においては、過去最多の数が確認されました。こうした豊かな自然環境が『自然共生サイト認定の要件である9つの価値』のうち6つに該当すると評価され、 “鷹栖プルービンググラウンド”の敷地の約70%である571haが環境省の定める地域生物多様性増進法に基づき「自然共生サイト」として認定されました。Hondaの「自然共生サイト」認定の中では最大の敷地面積となります。



6項目で評価された“鷹栖プルービンググラウンド”

自然共生サイトの認定基準は9項目で、そのうち6項目で価値が認められ、“鷹栖プルービンググラウンド”は「自然共生サイト」として認定されました。

1.原生的な自然生態系が存在する

環境省は、土地に加えられた人為的な影響の度合いや、その土地本来の自然性がどの程度残されているかを示す指標として「植生自然度区分基準」を用いて植生自然度※3を評価しています。植生自然度は1~10の10段階で区分され、数値が高いほど自然性が高く、人為的な影響が少ないことを示します。

“鷹栖プルービンググラウンド” では、環境省の5万分の1植生図※4において、高い自然性を示す植生自然度9のエゾイタヤ-ミズナラ群落が確認されています。また、環境省2万5千分の1植生図では、植生自然度9相当のハルニレ-ヤチダモ群落やヤナギ高木林が分布していることが確認されました。そして、ヒルムシロクラス(水生植物群落)と、湿生草本※5の群落では、植生自然度の最高評価である植生自然度10に相当すると評価されました。

植生自然度9は、ユネスコ世界自然遺産に登録されている東アジア最大級の原生的なブナ林が分布している白神山地(青森県・秋田県)や、縄文杉をはじめとする屋久杉が有名な屋久島(鹿児島県)が該当します。
植生自然度10は、屋久島や白神山地よりもさらに自然性が高いとされる日本最大級の高山自然草原のある大雪山(北海道)や原生的な高山草原や自然林がある南アルプス北岳周辺(山梨県・長野県・静岡県)の一部が該当します。このことから、“鷹栖プルービンググラウンド”には極めて自然度の高い生態系が残されていることが分かります。

※ 3 植物の様子から、人間活動による影響の度合いや自然の残り具合を10段階で表した、環境省の調査指標。値が高いほど人の手が加わっていない自然な状態を示す
※ 4 森林、草原、湿原、農地、市街地周辺などの日本全国の植生(現在その場所に実際に生育している植物群落)の分布状況を地図化したもの
※ 5 水辺や湿原などの湿潤な環境に生育し、木にならずに草の茎を持つ植物(草本)のこと

2.在来種を中心とした多様な動植物種からなる健全な生態系が存在する

“鷹栖プルービンググラウンド”は、バイクや自動車のテストコースとして利用されているほか、生物多様性の保全を踏まえた緑地管理計画を策定し、実行しています。管理緑地には、芝地のほかにカラマツ植林や発達した河畔林、貯水池、河川が分布しており、それぞれを特徴づける生態系が存在しています。​

3.希少な動植物種が生息生育、または生息生育している可能性が高い​​

ヒメヘビイチゴ、シマエナガ、エゾシカ、エゾサンショウウオ、ミヤマクワガタ、カブトムシ、フクドジョウ、トミヨ、エゾマイマイなど植物8種、哺乳類5種、鳥類15種、両生類1種、魚類3種、昆虫類13種、底生動物8種、陸産貝類5種の、合計58種の希少な動植物種が確認されています。​

ニホンザリガニ
国内希少野生動植物種に指定「ニホンザリガニ」
水温20℃​以下の樹林に囲まれた源流部に強く依存するため、北海道、青森県、岩手県及び秋田県の1道3県にのみ少数が分布しています。日本固有種であり、2022年12月、ニホンザリガニを含む15種は捕獲や採集、売買などを原則禁じる国内希少野生動植物種に指定されています。​
ヤマメ
川に生息するヤマメは、石狩川から日本海を回遊してサクラマスに
水路調査ではヤマメが確認されました。河川で一生を過ごす個体がヤマメ、海に下って成長する個体がサクラマスと呼ばれ、海を回遊し成熟したサクラマスは生まれた川に戻ってきます。ここのヤマメも、鷹栖から石狩川を経て約160㎞を泳ぎ、日本海へと壮大な旅をする可能性があります。この発見により、ここの自然は構内や身近な川だけでなく、石狩川流域から海へと続く大きな生態系とつながっていると思われます。

4.分布が限定される、特異な環境へ依存する等、その生態に特殊性のある種が生息生育、または生息生育の可能性が高い​

以下の特異性・特殊性を有する動植物が生育、生息していました。​

多年草 オクエゾサイシンから、準絶滅危惧種 ヒメギフチョウの生息を確認
植物のオクエゾサイシンは毒性があり、多くの昆虫や動物にとっては有毒ですが、特定の虫にとっては貴重な主食です。現地調査でオクエゾサイシンの葉に特徴的な食痕が見つかったことから、専門家の助言を受けて追加調査を実施した結果、準絶滅危惧種 ヒメギフチョウの生息が確認されました。
ヒメギフチョウはオクエゾサイシンと豊かな森林環境がなければ生きられないため、この発見は良好な自然環境が維持されていることを示す重要な証拠となりました。​

オクエゾサイシンとヒメギフチョウの幼虫
オクエゾサイシンとヒメギフチョウの幼虫
ヒメギフチョウの卵
ヒメギフチョウの卵
ヒメギフチョウ
ヒメギフチョウ

5.越冬、休息、繁殖、採餌、移動(渡り)等、動物の生活史にとって重要な場として機能​

“鷹栖プルービンググラウンド”はテストコースの秘匿性から人が立ち入らない場所となっており、また大型哺乳類の影響が少ない静かな環境も相まって、各所に点在する調整池は静寂が保たれています。そのためコガモやマガモ、アオサギなど水鳥の寄留地や採餌場所となっています。​

コガモなど多くの渡り鳥の休息地となっている調整池
コガモなど多くの渡り鳥の休息地となっている調整池
“鷹栖プルービンググラウンド”にある調整池は、多くのカモ類が飛来する渡り鳥の重要な寄留地です。渡り鳥が安心して休息できるこの場所は、秋になると200羽を超えるコガモが確認されるなど、渡り鳥を支える貴重な拠点として機能しています。​

6.既存の保護地域または認定区域に隣接、もしくはそれらを接続する等、緩衝機能や連結性を高める機能を有する場​​

“鷹栖プルービンググラウンド”の北西側には、北海道指定の江丹別烏獣保護区が隣接しているほか、北西側には北海道の維文環境緑地保護地区が隣接しています。

  • 本田技研工業株式会社 環境企画部 環境戦略企画推進課 木下 紗希

    本田技研工業株式会社 環境企画部 環境戦略企画推進課 木下 紗希

    Hondaは1960年代から『子どもたちに青空を』という想いのもと、ものづくりと自然の調和を追求してきました。モビリティリゾートもてぎ、埼玉製作所 完成車工場に続き、今回は“技術を極限まで鍛え上げるテストコース”である鷹栖ブルーピンググラウンドが本田技術研究所の拠点として初めて「自然共生サイト」に登録されました。これにより、Hondaの国内拠点敷地の約40%※が自然共生サイトの認定地となり、「2030年までに陸と海の30%以上を保全する」という国際目標に貢献することができました。
    ※Honda国内の生産・研究開発拠点およびモビリティリゾートもてぎを対象とした敷地面積

  • 株式会社本田技術研究所 管理センター 研究開発安全推進部 PG鷹栖ブロック 大西 学

    株式会社本田技術研究所 管理センター 研究開発安全推進部 PG鷹栖ブロック 大西 学

    鷹栖は自動車の研究開発拠点でありながら、豊かな自然環境に囲まれた事業所です。私たちは研究開発を進めるだけではなく、地域の自然環境や生態系との共生を大切にしながら事業運営をおこなっています。鷹栖のテストコース内には川が流れており、その水は敷地外を流れる石狩川へとつながっています。そして、石狩川にはサクラマスが遡上しています。つまり事業所内の自然環境は地域の河川や生態系とつながっており、私たちの活動が地域全体の自然にも関係しているということです。これからも地域の皆さまと共に自然を守りながら、持続可能な研究開発拠点を目指していきたいと思っています。

  • 株式会社本田技術研究所 管理センター 研究開発安全推進部 PG鷹栖ブロック 藤井 仁

    株式会社本田技術研究所 管理センター 研究開発安全推進部 PG鷹栖ブロック 藤井 仁

    テストコースを運営する立場としては、自然との共生は決して簡単なことではありません。例えばテストコースに動物が侵入した場合、安全確保のためにテスト走行を調整することがあります。また、コース脇の樹木から落ちる葉は、路面状況に影響を与えることがあり、テストを行うために掃除を行っています。しかし私たちは自然を単なる障害とは考えていません。研究開発と自然保護の両立を追求していることが、鷹栖の大きな特徴だと思います。

  • 本田技研工業株式会社 環境企画部 環境戦略企画推進課 常田 佑太 

    本田技研工業株式会社 環境企画部 環境戦略企画推進課 常田 佑太 

    自然を回復軌道に乗せるネイチャーポジティブを実現する上で、私たちが今、大切にすべきは「今ある豊かな自然を確実に保全していくこと」だと考えています。その意味で、北海道にある広大な鷹栖のテストコースにある豊かな森は、Hondaにとってかけがえのない財産です。
    クルマを極限まで鍛え上げる場所が、同時に多様な動植物の命を育む場所でもあるります。今回の「自然共生サイト」認定を大きな推進力として、Hondaの持つ知恵と情熱を結集し、この素晴らしい環境を未来へ残す保全活動をさらに加速させていきます。

  • ミヤマクワガタメス

    ミヤマクワガタ メス

  • オニヤンマ幼虫

    オニヤンマ 幼虫

  • エゾリス

    エゾリス

  • シマエナガ

    シマエナガ

  • オトギリソウ

    オトギリソウ

  • エゾサンショウウオ

    エゾサンショウウオ

  • フクドジョウ

    フクドジョウ

  • クマタカ

    クマタカ

下記YouTubeでもご視聴することができますので、ぜひご覧ください。

Hondaの生物多様性への取り組み​

Hondaは、自社の企業活動が生物多様性に影響を及ぼす可能性があることを認識し、1960年代からその保全につながる活動に力を入れてきました。2011年には「Honda生物多様性ガイドライン」を制定し、生物多様性と企業活動の調和を図っていくことを基本的な考えと定め、世界各地でさまざまな環境保全活動に取り組んでいます。また、国際的なフレームワークであるTNFD※6のLEAPアプローチに基づき、自然への依存度や影響度を評価した上で、優先度の高い地域・拠点から段階的に、地域特性や自然環境に応じて生物多様性保全活動を推進しています。 今後も国内拠点で「自然共生サイト」認定取得をめざし、生物多様性の復元・再生活動を推進していきます。 また、将来的には「自然共生サイト」と同等の自社基準を設定し、海外工場でも取り組みを展開して いきます。

※ 6 Taskforce on Nature-related Financial Disclosuresの略。企業や金融機関が、自社の事業活動による自然環境や生物多様性への影響・リスク、機会を評価し、情報開示するための国際的な枠組み

<関連リンク>

(取材日 2026年10月30日)