2019.11.14 update

Hondaパワートレインユニット製造部とホンダエンジニアリングの共同取り組みが、
資源循環技術・システム表彰で経済産業省産業技術環境局長賞を受賞。

2019年10月18日、「令和元年度 資源循環技術・システム表彰」の表彰式が東京都港区の機械振興会館で開かれ、Hondaパワートレインユニット製造部とホンダエンジニアリング株式会社の共同取り組みである「自動車用クランクシャフト鍛造におけるバリ(スクラップ)削減新技術」が、経済産業省産業技術環境局長賞を受賞。両社の代表者が登壇し、表彰状と盾を授与されました。

Hondaパワートレインユニット製造部とホンダエンジニアリングの共同取り組みが、資源循環技術・システム表彰で経済産業省産業技術環境局長賞を受賞。

2019年10月18日、「令和元年度 資源循環技術・システム表彰」の表彰式が東京都港区の機械振興会館で開かれ、Hondaパワートレインユニット製造部とホンダエンジニアリング株式会社の共同取り組みである「自動車用クランクシャフト鍛造におけるバリ(スクラップ)削減新技術」が、経済産業省産業技術環境局長賞を受賞。両社の代表者が登壇し、表彰状と盾を授与されました。

今年で45回目となる「資源循環技術・システム表彰」

「資源循環技術・システム表彰」は、廃棄物の発生抑制(リデュース)、使用済み物品の再使用(リユース)、再生資源の有効利用(リサイクル)に寄与する優れた事業や取り組みを表彰し、循環ビジネスを振興することを目的とした表彰制度で、一般社団法人産業環境管理協会が主催、経済産業省が後援しています。昭和50年に始まった「再資源化貢献企業表彰」をもとにする本表彰は、今年で45回目となる歴史の長い表彰制度です。令和元年度は8件12社が表彰され、Hondaパワートレインユニット製造部とホンダエンジニアリング株式会社の共同取り組みは、経済産業省産業技術環境局長賞を受賞しました。

自動車用クランクシャフトの新鍛造技術が経済産業省産業技術環境局長賞を受賞。

今回、Hondaパワートレインユニット製造部とホンダエンジニアリング株式会社が取り組んだのは、自動車用クランクシャフト製造工程において、バリ(スクラップ)を削減して材料の歩留まりを大きく向上させる新しい鍛造技術の開発です。
従来、一般的な4気筒エンジンのクランクシャフト鍛造の歩留まりは75%程度で、25%はバリ(スクラップ)として処理されていました。クランクシャフトの製造には特殊鋼を圧延加工した母材を使用するため、バリも単純にリサイクルできず、資源の有効活用、加工・運搬等での消費エネルギーの削減という観点から改善が求められる問題でした。
今回両社が開発した新しい鍛造技術では、CAE成形解析技術を活用した金型の改良により着実にバリを削減したことに加えて、バリを折り曲げることで金型内圧を高めて充填性を大きく向上させる新技術(バリ抑制成形技術)を開発し、エネルギー使用量を抑えつつクランクシャフトの軽量化とバリの削減を両立。その結果、素材の歩留まり向上とスクラップの排出削減に大きく貢献している点が高く評価されました。

  • 8件12社が表彰された「令和元年度 資源循環技術・システム表彰」

    8件12社が表彰された「令和元年度 資源循環技術・システム表彰」

    2019年10月18日に東京都港区の機械振興会館で行われた「令和元年度 資源循環技術・システム表彰」の表彰式では、経済産業大臣賞1件3社、経済産業省産業技術環境局長賞2件3社、一般社団法人産業環境管理協会会長賞2件2社などが表彰されました。

  • 開会の挨拶を述べる一般社団法人産業環境管理協会会長の冨澤龍一氏

    開会の挨拶を述べる一般社団法人産業環境管理協会会長の冨澤龍一氏

    「10月は3R推進月間であり、本表彰は3R推進月間の中心を成す重要な行事です。近年は環境問題への世界的な関心が急速に高まっており、特に3R技術開発の重要性が広く認識されてきています。今回表彰される皆さんは、そうした社会をリードする先進企業であると思っています。今後も皆さんの取り組みが我が国の経済発展、地域振興に寄与することを期待しています」

  • 盾を受け取る本田技研工業株式会社の柳田

    盾を受け取る本田技研工業株式会社の柳田

    Hondaパワートレインユニット製造部を代表して檀上に上がったのは、真岡パワートレイン工場パワートレイン塑型モジュールのモジュールマネージャーの柳田。経済産業省の渡邊昇治審議官(産業技術環境局担当)より表彰状と盾を受け取りました。

  • 盾を受け取るホンダエンジニアリング株式会社の坂井

    盾を受け取るホンダエンジニアリング株式会社の坂井

    同じくホンダエンジニアリング株式会社を代表して檀上に上がったのは、パワーユニット生産技術部パワーユニット塑型技術ブロックの技師の坂井。

  • バリ発生が宿命である鍛造の世界で、その大幅削減を実現した点を高く評価

    バリ発生が宿命である鍛造の世界で、その大幅削減を実現した点を高く評価

    審査委員会による講評は次の通りです。「CAE成形解析技術を活用した材料削減技術を用いて着実にバリを削減してきたことに加えて、バリを折り曲げることで金型内圧を高めて充填性を大きく向上させる新技術(バリ抑制成形技術)を開発し、エネルギー使用量を抑えつつクランクシャフトの軽量化とバリの削減を両立させ、素材の歩留まりを向上させ、スクラップの排出削減に大きく貢献している点を高く評価し局長賞に相当すると決定した。」

  • 表彰式の後は「資源循環技術・システム表彰受賞講演」を開催

    表彰式の後は「資源循環技術・システム表彰受賞講演」を開催

    表彰式の後は「資源循環技術・システム表彰受賞講演」が開催され、受賞8件の講演が行われました。

  • ホンダエンジニアリング株式会社の田中が2社を代表して講演

    ホンダエンジニアリング株式会社の田中が2社を代表して講演

    Hondaパワートレインユニット製造部とホンダエンジニアリング株式会社の2社を代表して講演を行ったのは、ホンダエンジニアリング株式会社パワーユニット生産技術部の田中です。田中は鍛造で発生するバリをたい焼きの羽根に例えるなど、分かりやすい発表で会場の注目を集めました。

  • 解説:バリ(スクラップ)の大幅削減を実現した新技術

    解説:バリ(スクラップ)の大幅削減を実現した新技術

    クランクシャフトの製造では、高温に熱した円柱状の特殊鋼を上下の金型で挟んでプレス機にかけます。上下の金型で材料を押し潰す際、たい焼きの羽根のように金型から材料がはみ出したものがバリです。鍛造においてバリの発生は避けられませんが、今回、Hondaパワートレインユニット製造部とホンダエンジニアリング株式会社は、これを大幅に削減する技術を開発しました。

  • 講演後は、交流コーナーで情報交換

    講演後は、交流コーナーで情報交換

    専門性の高い内容にもかかわらず、会場内に設けられた交流コーナーには講演を聞いて関心を持った来場者が質問などに訪れ、活発な情報交換が行われました。

  • 本田技研工業株式会社 パワートレインユニット製造部 柳田

    本田技研工業株式会社 パワートレインユニット製造部 柳田

    真岡パワートレイン工場 パワートレイン塑型モジュール モジュールマネージャー
    「今回は非常に高いレベルに目標を置いて取り組んできたテーマです。それだけに、開発時には問題なかった金型が量産時に割れてしまうなど、不具合も多々起こりました。私たちはホンダエンジニアリングが開発した技術を生産現場に導入する立場でしたが、開発と生産現場のスタッフたちの協力と努力によってそれらの問題をすべてクリアし、今回、他社を圧倒できるほど極限まで攻め込んだ技術を確立することができました。今後は中国やインドなどへの展開を推進していきますので、この技術をグローバルに貢献できる技術に成長させたいと思っています」

  • 本田技研工業株式会社 パワートレインユニット製造部 山口

    本田技研工業株式会社 パワートレインユニット製造部 山口

    真岡パワートレイン工場 パワートレイン塑型モジュール 技術主任
    「今回の新技術を生産現場に導入するにあたっては、金型が割れるなども含めて開発時には想定しなかった様々な不具合が発生しました。そのたびに、現場ではなんとか工夫して生産を止めずに乗り切らないといけなかったので、現場の方たちには大変な苦労をかけました。この技術を確立することができた背景には、直接開発に携わった技術者だけでなく生産現場の方たちの苦労があることも忘れてはいけないと思っています。今後は他機種や海外への展開を進めていく中で、もっと現場の効率化に寄与できる、もっと現場が安心できる技術へと進化させていきたいですね」

  • ホンダエンジニアリング株式会社 坂井

    ホンダエンジニアリング株式会社 坂井

    パワーユニット生産技術部 パワーユニット塑型技術ブロック 技師
    「今回の技術は、開発を担当するホンダエンジニアリングと、それを生産現場に導入するHondaががっちりと手を組み、同じ目標に向かって一緒に努力したからこそ実現した技術です。本当にいろんな困難がありましたが、それを関係者全員で乗り越えた、まさにチーム一丸と言う言葉が相応しい開発だったと思います。私たちホンダエンジニアリングの使命は、生産技術で世の中を変えていくことです。今後は鍛造領域だけでなく広く他の生産技術の領域でも今回と同じような革新技術の開発ができるようマネジメントしていきます」

  • ホンダエンジニアリング株式会社 田中

    ホンダエンジニアリング株式会社 田中

    パワーユニット生産技術部 パワーユニット生産技術ブロック 専任技員
    「私はホンダエンジニアリング側のプロジェクトリーダーとして金型の開発、設計、テストなど全般に携わりました。非常に高いレベルの技術開発にチャレンジしたテーマでしたが、その技術がこのように評価されたことは、やはり非常にうれしいです。今回は製品のリデュース技術を新たに確立することができましたが、今後は金型の長寿命化などによる資源の有効活用、低コスト化などにもチャレンジしていきたいです。また、今回の開発では反省点も含めていろいろなことを学びましたので、この経験をさらに新しい、次の技術の開発に活かしていきたいと思っています」

  • 8件12社が表彰された「令和元年度 資源循環技術・システム表彰」
  • 開会の挨拶を述べる一般社団法人産業環境管理協会会長の冨澤龍一氏
  • 盾を受け取る本田技研工業株式会社の柳田
  • 盾を受け取るホンダエンジニアリング株式会社の坂井
  • バリ発生が宿命である鍛造の世界で、その大幅削減を実現した点を高く評価
  • 表彰式の後は「資源循環技術・システム表彰受賞講演」を開催
  • ホンダエンジニアリング株式会社の田中が2社を代表して講演
  • 解説:バリ(スクラップ)の大幅削減を実現した新技術
  • 講演後は、交流コーナーで情報交換
  • 本田技研工業株式会社 パワートレインユニット製造部 柳田
  • 本田技研工業株式会社 パワートレインユニット製造部 山口
  • ホンダエンジニアリング株式会社 坂井
  • ホンダエンジニアリング株式会社 田中

(取材日 2019年10月18日)