生物多様性の保全

生物多様性ガイドライン

Hondaは、自社の企業活動が生物多様性に影響を及ぼす可能性があることを認識し、早くからその保全につながる活動に力を入れてきました。 2011年には「Honda生物多様性ガイドライン」を制定。
生み出す製品と企業活動における環境負荷を最小化することが生物多様性の保全に対する最大の貢献だと考え、同ガイドラインにおいて、「環境技術の追求」「企業活動での取り組み」「地域社会との連携」などの重点取り組み領域を定め、積極的に推進しています。

Hondaは、生物多様性を損なう最大の要因は、温室効果ガス(GHG)と汚染物質の排出であると認識しています。そのため、同ガイドラインで優先順位を付け、計画的にそれらの最小化に取り組んでいます。

Honda生物多様性ガイドライン

【基本的な考え方】

Hondaは、「Honda環境宣言」における“地球環境保全”の重要な取り組み課題として“生物多様性保全”を認識し、企業活動との調和を図っていきます。

重点取り組み領域


  1. 環境技術の追求

    低燃費車、次世代自動車、エネルギー創出等の環境負荷物質低減技術の開発と普及により、生物多様性の保全に貢献します。

  2. 企業活動での取り組み

    効率の追求による環境負荷物質の低減と資源の有効活用を推進します。

  3. 地域社会との連携

    Hondaが「ふるさとの森」「ハローウッズ」等で培ってきた“生態系を大切にしてきたノウハウ”を活かし、ステークホルダーと連携・協力しながら、地域に根ざした活動を推進します。

  4. 情報の開示と共有

    成果を開示することで、社会と情報の共有を図ります。

2011年5月制定


生物多様性保全の重要性とIPBESの報告書示唆

生物多様性は、人類の福利と健全な地球、そしてすべての人々の経済的繁栄の基本であり、我々は生物多様性に依存しているだけでなく、生物多様性は地球上の生命のすべてのシステムを支えています。IPBES※1の地球規模評価報告書(2020年発行)では、約100万種、その多くが数十年の間に、絶滅に直面することが示唆されています。また、2021年6月、G7コーンウォール・サミットにおいて「2030年自然協約」が採択され、2030年までに自然の損失を反転させる「ネイチャー・ポジティブ」が宣言されました。

Hondaは、天然資源や鉱物資源の恩恵を受けて事業を行っています。また原材料の調達だけでなく、研究開発、製造、使用、使用後の廃棄に至るバリューチェーン全体において、多くの自然資本に依存をし、そして影響を与えています。

Hondaは、「Honda環境宣言」における「地球環境保全」の重要な取り組み課題として「生物多様性保全」を認識し、企業活動との調和を図っていくことを基本的な考え方として定めています。

自然との関わりのなかで、生物多様性への配慮が必要であることも認識しています。その認識のもと、1960年代から工場での植林活動や工業用水の循環利用を行い、1976年には「ふるさとの森」づくり活動を開始しました。2011年には「Honda 生物多様性ガイドライン」を制定し、同ガイドラインに沿って、大気や水、生物多様性を含む自然への影響の回避・最小化に加え、保全・再生にも取り組んでいます。さらに生物多様性の影響評価を行っています。

  1. IPBES:Intergovernmental Science-Policy Platform on Biodiversity and Ecosystem Services(生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム)の略。

生物多様性の保全に向けた優先事項分析

自社生産拠点周辺における、生物多様性評価

Hondaは事業活動によって生物多様性に影響を与える可能性について、生物多様性評価ツールであるIBAT※1を用いて評価を行っています。世界の自社生産拠点(86拠点)について、各拠点から半径50km圏内を調査対象とし、IUCN※2レッドリストの絶滅危惧種が生息するエリアとの近接状況を整理しています。

また、生物多様性の取り組みを具体的化するに際し、IBATにある、KBA※3・WDPA※4・IUCN絶滅危惧種・STAR※5の指標を使って、自社生産拠点の生物多様性リスクを統合的に評価を行っています。今後は、優先拠点を定め、生物多様性保全の具体的な取り組みを検討していきます。

なお絶滅危惧種・優先拠点の評価・特定はともに、生物多様性評価の専門機関である、一般社団法人バードライフ・インターナショナル東京の協力のもとに行っています。

自社生産拠点周辺の絶滅危惧種評価

地域 絶滅危惧種カテゴリー
CR※6(深刻な危機) EN※7(危機) VU※8(危急)
日本 60 292 607
北米 75 187 294
欧州 62 136 305
アジア・大洋州 647 1,547 4,538
中国 189 404 755
南米 29 97 212
アフリカ・中東 36 64 90
合計 1,098 2,727 6,801

種数(延べ)

自社生産拠点の生物多様性優先拠点評価

自社生産拠点の生物多様性優先拠点評価

製品における、生物多様性評価

製品にはさまざまな材料が使用されており、それら材料のなかには生物多様性に影響を及ぼすものが存在する可能性があります。そこでHondaは製品に使用される材料が生物多様性に与える影響について一次評価する取り組みを行っています。評価結果をもとに影響が大きい可能性がある材料については、今後より詳細な分析を行い製品が生物多様性に及ぼす影響の低減の取り組みを検討していきます。

生物多様性影響の一次評価結果

生物多様性影響の一次評価結果

具体的な取り組みについて

生物多様性保全に対する具体的な取り組みは下記をご確認ください。

生物多様性保全に対する
具体的な取り組み
  1. IBAT:Integrated Biodiversity Assessment Tool (生物多様性評価ツール)の略。
  2. IUCN:International Union for Conservation of Nature and Natural Resources (国際自然保護連合)の略。
  3. KBA:Key Biodiversity Area (生物多様性重要地域)の略。
  4. WDPA:The World Database on Protected Areas (世界保護地域データベース)の略。
  1. STAR:Species Threat Abatement and Restoration (種の脅威の軽減と生息地の復元に関する指標)の略。
  2. CR:Critically Endangered(深刻な危機)
  3. EN:Endangered(危機)
  4. VU:Vulnerable(危急)

レポート