製作所で3交代勤務の中、育児と両立
6ヶ月の育休取得後、ご自身、ご家族、職場に良い変化がありました。「育休取得前の不安は杞憂だった」と振り返る堀口さん。 3交代勤務と育児をどう両立してるか?ご紹介します。
*1勤(6時30分から15時15分)、2勤(15時05分から23時30分)、3勤(23時20分から6時40分)と交代制で行う勤務
四輪事業本部 生産統括部 埼玉製作所 完成車工場 完成車管理課※インタビュー当時
寄居工場で、現在3交代勤務にて生産ライン設備の保全に従事。メンテナンスやトラブル時の改善に日々取り組む。
家族構成は妻と子供1人(3歳)
■育休取得タイミング/時期
出産4ヶ月後に6ヶ月/2020年10月中旬~2021年4月中旬
お仕事の内容を教えてください。
堀口さん:設備の保全と言って、生産に関わる設備のメンテナンスや点検、改善を行う業務をしています。
育休を生まれてすぐではなく、4ヶ月後から6ヶ月間にした理由は?
堀口さん:最初は妻が1人で育休を取って子育てしていたのですが、目に見えて疲労していて、私も、妻の体調によって仕事を休みがちになりました。そこから取得することを考え、生まれてすぐではなく4ヶ月後となりました。妻の負担もあり、できるだけ長い間取りたいと考え、育児休業給付金が180日まで67%支給されることもあって、6ヶ月フルで取りました。
妊娠期間中から育休を取ることを考えていましたか?
堀口さん:もともと育休を取るつもりはなかったです。しかし、妻の様子を見て、自分で取ることを決めました。
生産現場で6ヶ月間の育休を取った前例はありましたか?
堀口さん:なかったですね。最初に育休を取ろうと上司に伝え、妻の状態もあまり優れず、私が突発的に休む日も増えていたことを説明し、理解してもらいました。正直、制度的には取れても、実際に取れるのかという不安がありましたが、それは杞憂でした。
生産現場で堀口さんが6ヶ月間いなくなることのカバーや調整はどうしましたか?
堀口さん:自分がいない半年間は「こうしてほしい、こうすれば大丈夫」と引継ぎをし、あとの采配は上司にお願いしました。実際は私が担当した設備3つを、2人くらいで分担し対応してくれました。
6ヶ月間という期間の取得にあたり、不安はありましたか?
堀口さん:ありました。昇格、昇進というんですか。出世とか考えた時に、半年間いないので後輩に抜かれるなどはあるのかなと不安はありました。
それは誰かに相談しましたか?
堀口さん:上司に、今後のキャリアについて、想定されることも含めて確認しました。また、半年離れて育休を取っている人が周りにいなかったこともあり、育休に必ずしも理解がある方ばかりでもないとも思い「(そういった方に)何か言われたりしないですかね」と聞きました。「そういうことがないように心がける」とお話しいただきました。
上司の方は親身に相談に乗ってくれたんですね?
堀口さん:そうですね。自分の不安に対して「これはこうだから」と具体的に答えをいくつか出してくれたので、不安がちょっと解消されたと思います。
もしそのやり取りがなければ、取得は難しかったですか?
堀口さん:やり取りが仮になくても育休を取ることには変わりはないので、不安があろうがなかろうが、復帰後に頑張るしかないと自分の性格上は思います。ただ、相談したことで、不安が少しでも和らいだことは嬉しかったです。
育休中はどんな毎日を過ごしていたのですか?
堀口さん:家事は私が全部やっていました。寝かしつけに苦労しましたが、段々寝るようになりました。最初は抱っこで寝かしつけ、そのままベビーベッドにおろすができるようになり、その次は添い寝で寝てもらえるように頑張ってトレーニングしました。子供が小さいうちは、突然死症候群などがあるかもしれないからとベッドにカメラを付けていました。また、子育てに追われると、夫婦お互いが何を考えているのかもわからなくなるので、ベビーモニターは有効でした。モニターで監視することで、リビングでの2人の会話が増えました。夫婦どちらも大変だったので、こういうモニターなどを使って、ちょっと息抜きができるのとできないのでは全然違いますね。

育休取得後、自分、家族、職場に良い変化がありました
6ヶ月間仕事をしない期間からの復帰はスムーズでしたか?
堀口さん:半年間の育休から戻ったとき、朝に事務所へ入って「おはようございます」と言ったら、なんかもう感覚が日常に戻って。休みボケみたいなのもありませんでした。ただ、人事異動と復帰のタイミングが重なったため、担当業務が変わりイチから覚えなければならない大変さはあったものの、日常だなと思いました。
復職後の仕事と子育てとの両立で、育休を取る前と比べて働き方や時間の使い方に変化はありました?
堀口さん:育休前は、自分が今なんの仕事を持ってるのか、整理することもなかったのです。育休取得にあたり、引継ぎのため、自分の仕事を整理しました。育休後は、常に自分が何をしなくてはいけないのかをまとめ、やるべきことは後回しにせず、明日自分がいなくても困らないような仕事の仕方を実践しています。もっとスマートに仕事できるように努め、自分がどういう状況なのか自分自身で理解しています。おかげで次に自分が何をやるべきかもすぐに分かります。思い出す時間すらもったいないので。また、保育園のお迎えもあるので優先順位を付けて「今日はここまでやればいい」と自分で区切りがつけられるよう、働き方を見直しています。
お仕事の方にはスッと戻ったようですが、今もご家庭では育休中の協業体制をキープできていますか?
堀口さん:育休から明けた直後は、ちょっと妻の負担が大きかったと思いますが、今、育児はメインで私という体制です。今までは勤務シフトは1勤(6時半から15時15分まで)・2勤(15時05分から23時半まで)・1勤・2勤でした。2勤の日は私が夜いないので子供の寝かしつけまでを妻がしてくれますが、今は1勤・2勤・3勤(23時20分から翌朝の6時40分まで)というシフトです。夕飯を食べさせてお風呂に入れて着替えて寝かせるまでが大変で、1勤と3勤の時は私が担当しています。妻にはその時間は「いいよ、働いてて」と伝えています。2勤のときだけ、妻が保育園に迎えに行って寝かせるまでします。妻には「勤務シフトが変わったから、働きたければ働いて!育児は1人でできるから」と言っています。
3勤の時はどのような生活をしているんですか?
堀口さん:3勤が終わるのが朝6時40分で、家に帰って7時20分くらい、保育園へ8時くらいに送って、そこからご飯食べて風呂入り、そのままただ寝るだけだとつまらない人生になるので、読書したりもしてます。起床は、お迎えに合わせて16時半です。夜、寝かしつけしながら仮眠を取り、夜中に出かけます。
奥さんが今バリバリ働かれ、結果的に堀口さんが育児に関わることで奥さんのキャリアにも良い影響につながっていますか?
堀口さん:良い影響になっていると思います。この間、役職に就いたそうです。さらに仕事の時間は増えたものの、ステップアップに、私も貢献できていると思います。
職場の中で取得している人がいなかったようですが、取りづらい雰囲気はありましたか?
堀口さん:取りづらい雰囲気はなく、取る雰囲気がなかっただけですね。
取得にあたって、例えば昇進などいろいろ不安があったようですが、今復帰されて、どんな気持ちですか?
堀口さん:それはただの不安でしかなかったですね(笑)。全然マイナスになってないです。
育休後は仕事の期日を必ず守り、提出物はチームの中で一番早く出ようにするなど仕事のやり方が変わりました。その姿を上司も見ていてくれたようで、賞与の2WAY面談で「よく頑張ってるね」とフィードバックをいただき、マイナスになってないと感じました。

私が育休を取得したことで、職場内の育休に対するハードルが下がりました。
育休を取ったことで、職場の方にインパクトはあったと思いますか?
堀口さん:今、ちょうど後輩が育休を取っています。同じ部署で彼も半年間取っています。また、来月(23年1月)から同じ部署でほかの後輩が取ります。その後輩は奥さんが育休取ってほしいと希望があったそうです。私が先に取ったことで取れるものだと思い、上司に話しに行き「自分も取ります」と伝えたそうです。私が取っていなかったら「育休を取ろうと思っていなかった」と言っていました。私の職場で育休に対するハードルが下がり、後に続いてくれたことは、職場的にも意味があったのかなと思います。
ご自身の今の仕事は、いわゆるライン業務ではないですが、仮に、ラインの方から、堀口さんに「取得したいんだよね」と相談があったら、どう対応しますか?ラインの方の取得は難しいと思いますか?
堀口さん:相談されたら、取得できるように話を進めた方がいいと言いますね。その人にとっては取らないといけないわけですし。子育ては夫婦どちらも主体的でないといけないんですし。周囲に「ダメ」とか「難しいよ」と言われても、2人でやっていかなければなりません。自分の置かれた状況でどうにか働きかけていくしかないので、そこをきちんと伝えないとだめです。
最後にこれから育休を取る人にメッセージを。
堀口さん:取る必要があるなら迷わず育休取って欲しいなと思います。先輩のケースですが、育休を取ろうかと話したら、奥さんに「いいから、働いて来て」って言われた人もいました。それぞれの家庭によりますが、誰でも取った方がいいというよりは、取る必要があるなら絶対取った方がいいです。私の場合は、育休を取って、自分の仕事を効率化するため、仕事のやり方や働き方は大きく変わりました。自分の仕事が何なのか、そして整理することを常に意識しています。


※インタビュー当時
本人から話を聞いた時、まずはおめでとうという気持ちでした。子育てと仕事の両立で堀口さんが活き活き輝いていくために、育休を積極的に取得し、子育てに取り組むことで、充実した生活を送っていただきたいと思いました。
育休中は、チームのメンバー全員で仕事の分担を行い、フォローしあって乗り越えました。
多様性を推進する時代であり、育休はすごく魅力ある制度と捉えています。
実際、堀口さんは復職後、能力を発揮され、活き活きとしています。育休中は充実されていたようで、仕事においては、チャレンジングな活動が目立ち、チームに大きく貢献しています。育児という、人生で何度あるかわからない貴重な機会を大切にしてほしいです。一方、現在、堀口さんの育休明けに同じタイミングで別の2名が育休を取っています。時期が重なって取得する場合は、仕事の調整に課題があると考えています。
交代制勤務の職場で、6ヶ月取得しました