Case 01
2022.08.31

第1子と第2子、両方で育休取得
仕事と育児の両立ためのスキルも身につけられる

ふたりのお子さんを持つ山元さんは、2回の育休取得を経験した上で、仕事を休むことにデメリットはまったくない、とハッキリいいます。むしろ、仕事の面でもプラスになることがある、と。復帰後は残業を極力減らせている山元さんが手に入れたスキル、ご紹介します。
■山元 孝史さん(40歳)

日本本部 営業企画部 エリア企画推進課 主任 ※インタビュー当時
販社出向を経験し、入社以来国内四輪営業一筋。第二子が生まれる前、地区マネージャーとして神奈川県下の販社を担当。
現在は、全国の販社に対し、エリアごとの販売戦略や販売網の進化に向け企画業務のリーダーとして従事。

家族構成は、妻と子供ふたり(6歳と1歳)

■育休取得タイミング/時期
1人目が生まれて1ヶ月/2015年 ※有休を取得
2人目が生まれる前後約4ヶ月/2020年 ※有休と育休を組み合わせて取得

仕事から離れることにネガティブはまったく感じていません

1人目の時に有休を1ヶ月取ろうと思ったきっかけ、経緯を教えて下さい。

山元さん:妻も働いてること、初めての子供だということ、どちらも両親が遠方なので頼れないことなどもあり、妻から育休を取ってほしいという話が出たのがきっかけです。もともと、「育休を取らない」と考えていたわけではありませんが、妻からいざ本当に言われて真剣に考え始めました。
当時の仕事が毎週月曜〜金曜日が出張と、ほぼ家を空けてしまうことが多かったので、育児は完全に妻に任せざるを得ない状況でした。
育児は大変だし1人じゃ絶対無理だろうということに加えて、自分自身も一緒に育児をやりたいと思い、2人で相談して有休を取得しました。期間も2人で決めてます。

2人目では4ヶ月と長く取っています。理由はなんでしょう?

山元さん:上の子が5歳だったので、小さい子2人一緒に面倒見るのは大変なので、生まれる前は有休を利用し、生まれた後は、育休に切り替える形で、少し長めに取りました。

取ると決めてから、取り始めるまで、調整したところとか、気をつけたところはどんなところでしょう?

山元さん:課長には早めに言いましたね。普通は安定期とか入ってから言うと思うんですけど、予定日の半年前には育休を取りたいと伝えました。それと、課長が人のやりくりも含めて準備してもらってる中で、ちゃんと仕事を引き継げるようにしました。

育休取ることに不安はありませんでしたか?

山元さん:ありませんでした。まわりに迷惑をかけるのはわかっていたので、申し訳ないという気持ちはありましたけど、育休を取ること自体に対する不安は……逆にどんな不安を持つことがあるのか、イメージできないくらい、ありませんでした。

1人目と2人目で、上司やまわりの反応は違いましたか?

山元さん:1回目は、出向中でした。当時、出向中に育休を取った前例がなく、育休ではなく有休を連続で1ヶ月取らせて頂きました。かなりご理解とご協力いただいたなと思ってます。2回目は、まわりの反応に違いはなかったですが、自分としては気が楽というか、1回取っていることもあって、言いやすかったです。

育休とっている間、朝起きてから、夜寝るまで、基本的に家事育児は山元さんが?

山元さん:そうですね、妻が夜、寝れていないので

そんな中、もういやだー!とかってなりませんでした?

山元さん:なりましたよ(笑)。妻に「あんた何にもしてないじゃん」みたいなことを言われたことがあって。いやだいぶやって、そうとう大変だと思っているけど、「なんもやってない」って言われちゃうと、これ以上どうしようかな、というのはありました。

山元さんが育休を取らなかったとしたら、どうなっていると思いますか?

山元さん:成立してなかったと思います(笑)。多分、まわってないですね。一人で全てをやるってことが想像できないです。

育休中、仕事から離れていることをネガティブに感じることはありましたか?

山元さん:それは全くないです。仕事を離れても能力が減るわけではないですから。仕事は、やるべきことをやるだけだと思っているので、間が空いたからといってデメリットは感じません。適正に評価もしていただいているし、育休が原因で評価が下がることはないと思います。

育休を取ることによって、仕事に生きるスキルを身につけることができました

逆に、プラスに作用したことはありますか?

山元さん:復職後も育児もすることを前提としているので、仕事の時間は短く切り上げながら、育児・家庭のこともちゃんとやるために、時間のマネジメント/効率化の意識は高まっていると思います。残業の時間も、1人目の後より2人目の後の方が圧倒的に少なくしています。

仕事と育児の両立で、どんなことを心がけていますか?

山元さん:基本的に残業はしないようにしています。そのために、効率的に仕事をやるようになりました。仕事の時間をいかに短く、でも質を落とさずに仕事をやりきるかを考えるので、効率化する能力が上がったと思います。それも、育児という環境に身を置いたからだと思いますね。育児をする環境になければ、仕事の時間を短くする必要性すら感じなかったと思います。

残業時間をゼロにするために業務のやり方をどのように変えていますか?

山元さん:例えば、会議は効率的に進めるように工夫し、極力減らしています。会議は時間が取られるので、決めなくてはいけないことをまとめるためだけに「とりあえず集まってみんなで考えよう」的な会議は基本的にやらないですね。もちろん意見があれば話をするし、メールで済むならそれで進めます。スケジュールがびっちり会議で埋まって、考える時間がないというようなやり方ではなく、できるだけ自分の頭で考えることに時間を使うようにしています。

そのような意識は育休を取ったことも影響していますか?

山元さん:業務と家庭を区切り、妻だけでなく自分も育児をする時間を確保する意識は、2回目の育休を取る前と取った後で全然変わっています。以前は、仕事だから仕方ないかって家庭に割ける時間を減らしていた部分がありました。コロナによるリモートワークなど、環境変化も大きいですが、タイミング的には育休で変わっています。

リモートワークを併用されていますが、仕事のモチベーションを下げずに、家庭との両立にプラスになっていますか?

山元さん:何をもって業務とするかは曖昧な部分もあると思いますが、定時に、仕事を終えるという意味ではまずパソコンは閉じるんですけど、頭の中で考えること自体が好きなので、業務時間外でもいつでも仕事のことは考えられます。例えば、家族で遊んでいる時は仕事のことを考えませんが、自分一人でお風呂入ってる時には、考えることはできます。仕事とプライベートの境界は曖昧なところもあって、オンとオフがはっきり切り替わるのではなく、常に頭の中で仕事のことを考えている感じはあります。半分趣味の延長みたいなものなので、いろいろ考えているというだけだと思っています。

残業時間ゼロであることに、まわりはどういう反応ですか?変化はありますか?

山元さん:まわりが変わっているかはわからないですね(笑)。私がとにかく残業やらないだけで。ただ、アウトプット・やるべきことという意味では、周囲と比べて働いてる「量」が少ないとは思っていないです。働く時間は短いですが、上司からも働き方でなにか言われたことはないですね。もっと残業してもいいよとはいわれますけど(笑)。やらないです、と答えていますが(笑)。最近思うのは、まわりは、私が家庭でどういう状況かを知らないので、育児で忙しい夜の時間に会議が入ることもあります。帰ってご飯あげたいんだけど……と思うのですけど、そこがやっぱり伝わらないし、だからといって「子供にご飯あげるので仕事できません」というわけにもいかない。そこは課題かな、というのはあります。

女性で育児中だと、まわりも配慮があったりしますが、男性はどうですか?

山元さん:こちらからは基本的に言ってないですし、配慮されていないと感じる時もあります。やっぱり、育児を経験しないと、たとえば夜6時~7時が育児で忙しい時間帯であることはわからないですよね。自分も以前は当たり前のようにその時間でも仕事していましたから。逆に、私のように育休を取り育児に関与する男性が増えて、それが当たり前になってきて、「この時間の会議はできれば避ける」という共通認識ができてくると、うまく回るのかなとは思いますね。

みんなが育休を取れば、もっと働きやすくなる

育休を取る人が増えると、どんなメリットがあると思いますか?

山元さん:育児に限らず、個々のプライベートの困りごとは、外からはなかなか見えません。ただ、実際に共有することはないとしても、他の人も育児をしているかもしれないし、介護しているかもしれない。いろいろな事情があろうことを前提に、仕事を回すことを意識できる人たちが増えてくると、みんな仕事しやすくなるんじゃないかなと思います。昔のような朝から夜までめちゃくちゃ働く、みたいな働き方はこれから成り立たないし、相手の事情を想像しながらやらないと、うまくいかないだろうと思います。

パートナーと今後について、どんなお話をされていますか?

山元さん:夫婦間の一番の話題は、管理職を目指すべきかどうかです。仮に私が管理職になれたとすると、働き方は今と全然変わってくると思うので。

これから育休取得を検討している方に、おすすめポイントやメッセージ、エールをお願いします。

山元さん:やっぱり、育児の大変さは、実際に体感しないとわかりません。夫婦で同じ経験をして、一緒に苦労することは、家族のその後にとってめちゃめちゃ大事だと思うので、ぜひ経験した方がいいです。自分が数ヶ月休んだからといって、仕事は回るし、自分のキャリアにマイナスになることってほぼないです。また、育休を取ることについて上司や管理職も、「育休を取らせない管理職はだめだよ」って言われていると思うので、遠慮せず、まずは育休を取ったらいいと思います。育休を取ったほうが家庭にも、仕事にも良い影響の方が大きい、それは間違いないです。

お子様二人と
上司・同僚からのコメント
元上司の声 妹尾高史さん 日本本部 販売部 神奈川県事業推進課 課長
※インタビュー当時
育児休職を取りたいと聞いたときの率直な気持ちを教えてください。

以前から、お子さんが産まれる際には育児休職を取りたいという意向は聞いていました。また、私も率先して、育児休職を取らせてあげられる前例を作れたら良いと思っていましたので、打診された際は二つ返事でOKしました。

育児休職取得された方がいることについて、ご自身の気持ちの変化はありますか?

当時の課員は、課長である私を除き4名しかいない中での1名育児休職だったので、残りの3名に大いに負担を掛けたのは事実だと思うので、そこは残りの3名(高橋さん、小笠原さん、藤野さん)にも大変感謝しています。今後も取得を希望される方には積極的に取っていただきたいと思います。
余談ですが、私の場合はHMへ転職後4か月目で子供が産まれたのですが、業務の習熟を優先させるため、制度があったとしても育児休職を取るという判断はできませんでした(ですがその決断は、その後の子供の育児・成長について大きな反省・後悔を抱くことになってしまいます)。
管理者としては、育児休職期間によって評価の付け方に違いがあることをきちんと理解できていなかったので、後から「そうだったのか」と認識の甘さに愕然としました。育児休職を取らせてあげる側にも、事前の理解が必要だと思いました。

元同僚の声 藤野軒一さん 日本本部 販売部 神奈川県事業推進課 主任
※インタビュー当時
育児休職を取りたいと聞いたときの率直な気持ちを教えてください。

要員1名減となってしまうため、業務の負荷増やオペレーションがうまく回せるかどうかが心配でした。

育児休職取得された方がいることについて、ご自身の気持ちの変化はありますか?

業務としては、取得されていた期間中、所属長によるフォローがあり、同僚間のリーチングアウトなどで、大きな問題はありませんでした。理解しあえる環境作りやフォロー体制などがしっかり構築されていれば、育児休職は十分取得できると思いました。今後、自分も取得を検討してみたいと思います。

元同僚の声 小笠原克也さん 日本本部 販売部 神奈川県事業推進課 主任
※インタビュー当時
育児休職を取りたいと聞いたときの率直な気持ちを教えてください。

身近な人が取得するのを見て、社会の変化も含めて、男性も育児休職を取る環境が整ってきたことを実感しました。山元さんの休職以降、業務に対する不安などはありませんでした。

育児休職取得された方がいることについて、ご自身の気持ちの変化はありますか?

今後も、取得希望者本人のみならず、所属部署で業務を継続する人に対しても、会社側がきちんとサポートや配慮できる環境が、もっと整ってくれば良いと思いました。

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