• 上司力研修 成果発表会 2019

上司力研修
成果発表会 2019
Report

実施2年目を迎えた上司力研修は、対象を全社に拡大。
2019年度受講者100名の中から代表者5名の取り組みを好事例として共有する
成果発表会を実施し、その模様を動画配信した。

上司としてのあり方を考え、
学びを職場で実践!
代表発表による組織づくりの好事例共有

新型コロナウイルス感染拡大対策として
成果発表会を動画で配信

研修受講者となるマネジメント層が、学びながら、自身の職場で実際に取り組みを並行していく上司力研修。2019年度は、全社展開をスタートし、100名が参加した。

2019年度の受講者が好事例共有を行う成果発表会は、新型コロナウイルス感染拡大に対応し全受講者参加のイベントを中止。代表発表者のみで実施し、後日全受講者に動画配信する形をとった。

上司力研修 成果発表会とは?

「講演」でダイバーシティマネジメントのヒントや気づきを得て、「上司力研修」の「研修」と3回の「ゼミ」で「上司のあり方」「チームビジョン」「組織デザイン」「現場を応援する仕掛け」のテーマを現場に持ち帰り、受講者がチームメンバーを巻き込み実践していく。「成果発表会」は、受講者がどのような状況下で取り組み、生じた葛藤や障壁をどう乗り切ったのかを共有することで、各自のマネジメントに活かしてもらうための場。

ダイバーシティマネジメント講演受講後、上司力研修へ。上司力研修では研修、3回のゼミと並行して、各職場で実践課題として取り組む。成果発表会は各現場での実践の好事例を共有する場。 ダイバーシティマネジメント講演受講後、上司力研修へ。上司力研修では研修、3回のゼミと並行して、各職場で実践課題として取り組む。成果発表会は各現場での実践の好事例を共有する場。

成果発表会

Case01メンバーの個性が引き出せていない!
立ち返ったHondaの原点「人間尊重」

四輪事業本部 生産統括部
トランスミッション製造部
浜松工場
プーリー加工モジュール
モジュールマネージャー​ 南雲光一

静岡県・浜松工場で、CVT(無段変速機)のプーリー(滑車)を10ミクロン以下の精度管理で加工する2グループ、3ユニット、9チームの337名が在籍する大所帯。業務に受け身になりがちで自発的な提案力や、上司と部下、同僚同士などの信頼関係が弱いことが課題でした。

「遊びがあっていい」
挨拶や声がけのある明るい職場

部下の意見を引き出せていない上司としての自分のあり方を反省し、ビジョン作成は職制みんなで取り組みました。そして研修中に始めたのが、毎朝現場を回る挨拶運動。最初は挨拶が返って来ないこともありましたが、今では挨拶が返って来ます。相談事でも声をかけられるようにもなりました。

「組織デザイン」は、浜松の特色を生かしたい!と浜松に本拠地を置くHonda FCにちなんでサッカーをメタファーに。次工程やお客様を「ゴール」に、製品を「ボール」に見立て、「司令塔」や「前線」役を配置して、それぞれの役割や互いのつながり、一つのゴールを目指す姿を共有できました。関連部門や私自身は「サポーター」です。業務や仕事の無機質なイメージを、躍動感ある絵にしたことで「こんな遊びがあってもいいんだ」という雰囲気が生まれ、組織全体が明るくなりました。

長期休み前の一斉夕礼で、社是などを改めて共有し、どう行動していくか話し合いました。互いを認め合うフィロソフィーの「人間尊重」の大切さを全員で再認識できたことが、組織運営の潤滑油になったと思います。

自分の言葉でビジョンや目的を語る! 自分の言葉でビジョンや目的を語る!

製作所担当 須田講師コメント

南雲さんがメンバーと真摯に向き合い、お互いの考えを共有し、理解し、認め合ったことで、ご自身とメンバー両方の視点で新たな発想による仕掛けが生み出せたと思います。

Case02度重なる予定変更に直面
相互理解により職場の雰囲気が良化

日本本部 地域事業企画部
ビジネスアナリティクス課
主幹 若狭康治

四輪オーダー領域のシステムおよび業務刷新を任されているのが私の部門です。36年間使われ続けてきたシステムとそれに伴う業務プロセスの改革で、工数不足や内部からの反発など部門間の壁が立ちはだかります。度重なるスケジュール変更を余儀なくされ、メンバーのモチベーション維持が大きな課題でした。

「個の強みに焦点を当てる」ことで
承認欲求が満たされる

部門にはすでに「チームビジョン」はありましたが、学んだ手順に沿って、一人ひとりに考えてもらい、それをグループで共有する流れで作り直しました。私は議論に介入せず、最終アウトプットまでメンバーに任せたので、目的に立ち返り、自分事化し、それぞれのやりがいを見出す機会になったと思います。

やってよかったのが、何のためにやるのか明示し、メンバーの時間を確保して、いつもとは場所を変えて取り組んだこと。業務とは気分を変えて、普段と違う表情で議論でき、人と人、人と業務とのつながり、一人ひとりが必要とされていることを確認し合うことが出来ました。

以前上司に言われた「バランスのよい人間にならなくていい」という言葉を思い出します。つい目に付いてしまう弱みでなく、強みを生かした「その人らしさ」に焦点を当てられるようになったのは自分自身の大きな意識変化。在宅勤務中も、部下に仕事を任せることの不安が一切なかったのは、この研修を通じて実感したマネジメントに対する意識変化の賜物です。

人と人の心の壁を低くすることが組織づくりのポイント 人と人の心の壁を低くすることが組織づくりのポイント

和光・青山担当 田岡講師コメント

アンコンシャスバイアスを超えた見た目では解らない“熱いハートのアイスマン”。組織デザインでは実践で感じたメンバーの強みをインジケーターで可視化したのが印象的でした。

Case03部下を信じ、任せることの難しさ
葛藤を乗り越えた新任マネジメント

四輪事業本部 ものづくりセンター
電子制御開発統括部 電子プラットフォーム開発部
電子プラットフォーム開発課
CE 岡本雅之

車載通信ネットワークの基盤設計から電子制御ユニット(ECU)の開発までを手がけています。社内の各機能のエキスパートたちに対し、横断的な視点でコンサルティングを行う通信のプロ集団。若手からベテランまで年齢構成は幅広く、仕事を任せきれないことや年上部下への接し方に悩んでいました。

ぐっとこらえて活かすことで
自分にはない文脈が出てきた!

まずはチームから3名を選出し、私も同席して「チームビジョン」を作ることに。しかし予定していた山籠もり当日、私はインフルエンザで参加できなくなり、部下に任せるしかない状況になりました。そうして出来上がったビジョンには、自分になかった発想があったんです。正直、直したいと思うところもありましたが、ぐっとこらえて活かすことで自分の固定観念を乗り越えることが出来ました。

年上部下と実施した2wayなども含め、部下たちと飾らない本音で前向きに話し合うことができたのが何よりの成果です。同時に、これまで部下と真正面から向き合えていなかったと反省しました。

研修期間中に生じた、不具合対応という失敗ができない状況。自分がリードしてしまう部分をぐっとこらえ、決裁者へのプレゼンを30代のメンバー2名に任せました。資料作成段階から自分事として取り組み、本番も堂々と乗り切った2人に教えられたのは、「マネジメントが部下の成長機会を奪ってはいけない」ということです。

私の役割は「管理職」でなく「支援職」 私の役割は「管理職」でなく「支援職」

栃木担当 須田講師コメント

ベテラン部下から“飾らない本音”を引き出し、仕事の価値の再定義に取り組む意欲と部下の成長の機会を奪ってはいけないという視点に辿り着かれたことに感銘を受けました。

Case04実践での気づきを行動に移し
“私”から“私たち”のチームへ

人事・コーポレートガバナンス本部
人事部
ホンダ企業年金基金
事務長 矢野真奈美

私は、Hondaと関係会社の退職金である年金資産の管理・運用、給付を行うホンダ企業年金基金の事務長を務めています。約10万人のおよそ1兆円を預かる業務を担うということもあり、非常に真面目で慎重なメンバーが揃っています。反面、主体的な行動が少ないと感じるところがありました。

マネジメントの行動変容が
組織の行動変容につながる

研修中、一番ドキッとしたのが「部下のことを大切に思ってます?」という問いかけでした。人は感情によって動きます。自分には部下の良いところを見つける力、肯定的に見守る目が足りない、そのことが部下の自由な発想を妨げていたのかもしれないと思いました。

地道な業務が多い職場のため、ビジョン作りには不慣れ。「チームビジョン」は、事前にプロセスを説明し、一つひとつ丁寧に進めることで、共通のゴールイメージを練り上げることができました。また意見交換するなかで、みんな誰かの役に立ちたいと思っていることに気づきました。

臨時2wayは聴くことに徹し、個々の強みをキャッチフレーズに。期初2wayで「組織デザイン」の図を見せながら、それぞれの強みや期待することを話すと、謙遜しながらも嬉しそうな表情を覗かせてくれたのが印象的でした。個の強みの発揮だけでなく、その先の組織としての相互連携、つまり「私」が「私たち」につながる見方や行動の変化が、一人ひとりに見えた手応えがあります。

日々労いを伝えることが、主体的な行動につながる 日々労いを伝えることが、主体的な行動につながる

和光・青山担当 前川講師コメント

上司に必須の自責思考に立ち、重要でありながら地道な仕事ほど、日々の苦労への労いを伝え続ける重要性に気づいたことで、短期成果ではなく組織文化を変革できるはずです。

Case05個性の塊が集まる多様なチーム
尊重と協調で溢れる組織へ

先進技術研究所 AD/ADAS研究開発室 第3ブロック
CE 有吉斗紀知

自動車業界は今、100年に一度の大転換期。私たちが担当しているのは自動運転用AI技術です。若手、専門性の高い中途採用、グローバル人材など非常に多様なチームで、マネジメント視点が弱いために全員を見切れていないこと、部下への愛が足りていないことにもどかしさを抱えていました。

上司であるが、仲間であり、
友である「協調の湖」

「多面的であれ!」は、研究職が陥りがちな狭い視野への警鐘。新人の頃、尊敬する上司に指摘された言葉です。今回、「組織デザイン」作成に向けて各自のキャラクターを考えたとき、物事を多面的に捉えられるメンバーが揃っていることに気づきました。

そして各工程でメンバーが強固に連携していることも見えてきたんです。こういったつながりをもっと強くしたい。だから私の役目は、協調しやすい湖のような存在になることだと思っています。

「現場を応援する施策」もコミュニケーション施策が中心。研修前から定期的に続けてきた「肉会」は、「飲み会」だと形式的な意味合いを感じる人もいるため、昼に肉を食べながら腹を割って語らおうという企画です。

先日2wayで、最近のチームについて「すごくやりやすい」という声が聞けたときには半泣きでした。でも、これで終わりじゃない。誰もやったことのないものづくりを、誰よりも速く、トップレベルの技術で実現するチームとしてのスタートです。

ゴールは終わりじゃない、新たなスタートだ! ゴールは終わりじゃない、新たなスタートだ!

栃木担当 田岡講師コメント

“上司のあり方”が組織をつくることに腹落ちし、“上司の愛”が強い絆を育むことを研修を通して体現したことが、周囲にも影響を及ぼしました。正しいリーダーの姿ですね。

講評

株式会社FeelWorks
代表取締役 前川孝雄氏

多様なメンバーが“働きがい”を感じる環境を上司が作ることがダイバーシティマネジメントの実現につながります。その為に、自分の中の“固定観念”に気づき、部下一人ひとりに共感し、活躍を支援できるよう研修を進めました。受講者の皆さんが現場で実践している姿に感動し、上司力研修の手応えを感じられました。

代表発表を聴き、研修の学びを実践に移し、組織の方向性を示してくれたことに感銘しました。私が考えるリーダー像は影響力があることであり、また部下の可能性をいかに引き出すことが出来るかです。その為には自らがフィロソフィーを体現することが大切です。 “継続は力”、学んだことを今後も実践し邁進してください。

人事部 部長 斉藤毅

受講者からの声

  • 部下への愛は足りていた?傾聴し良く褒めてきた?など自問自答につながった
  • 「管理職は支援職」といった言葉が印象的だった
  • リアルでの成果発表会が良かったため、動画のみでは十分な共感まで至らなかった
  • 一時的なものでなく“文化”にしていくことが大事。自身へのリマインドが課題
  • 部下の言葉に耳を傾けることが、求められるマネージメントである、と気づいた
  • 発表者の皆さんの真摯に部下と向き合い組織活性化に結び付ける姿が『すごい』
  • どの発表も印象的で、メンバーとも共有していきたい考え方やフレーズを発見
  • 動画配信での成果発表会をより多くの方に視聴してもらえるよう工夫して欲しい
  • 動画で配信して貰えたので、繰り返し聴くことが出来て良かった
  • 話す側にとっても聞く側にとっても同じ時間を共有出来るのでリアルが良い
  • 研修は他部署の課長との悩みの共有が有意義だった。発表会も集合型が良かった
  • 中味・質疑・F/B、いずれも素晴らしく感銘を受けた。感動を実際に伝えたかった

人事部多様性推進室から

19年度の上司力研修は全社から100名が参加し、研修の中でも領域を超えて活発な意見交換をして頂きました。成果発表会の全体イベントはコロナ対応により残念ながら中止となりましたが、代表発表者の好事例の動画配信や研修での学びをベンチマークマネージメントとして、全社に波及していってください。今後のご活躍を期待しております。