同乗者も一緒に空へ 「2人で」を突き詰めたPRELUDEデザイン

PRELUDEの未来を形にする
インテリアとCMFデザインが生んだ新たな体験

グライダーからインスピレーションを得たインテリアデザイン

──PRELUDEには、速さやエンジンサウンドによる興奮を体現してきた歴史があります。電動化によってドライビングの質が変わってきている中で、幾度となく試作と検証を繰り返し、同車では従来のスポーツモデルとはまた異なる、ダイナミックな走りを実現しました。そんな中、インテリア担当の東森が最もこだわったのが「ダイナミックな走り」に対する「身体を包み込むフィット感」のギャップでした。

PRELUDE
PRELUDE

東森
新型PRELUDEは「UNLIMITED GLIDE」というグランドコンセプトを掲げています。実際にグライダーに乗ってみると、動力がないのでまるで雲の上や水中にいるような感覚になります。気流に乗って上昇しては、重力に従って滑るように落ちていく…の繰り返しで、ふわっとしているのに、どこまでも飛んでいけるような不思議な感覚です。

PRELUDE
PRELUDE

東森
PRELUDEでは、そういった滑りや浮遊感のある不思議な走りをドライバーに感じてもらいながら、身体はピタッと収まる心地良い感覚。この相反する体験を内装空間に落とし込むのが最大のミッションでした。

──最終的に試作シートをテスト車に取り付けた際、明確に「これだ!」と思える感動の瞬間があったと2人は振り返ります。ステアリング操作に合わせて、まるでグライダーような身体がふわっと浮く感覚を与えながら、コーナリング時などの踏ん張りどころではピタッと収まる──その両極端な体験が同時に起こることに、インテリアを担当しているデザイナーと設計チームは歓喜しました。

PRELUDE
PRELUDE

──アームレストにベストな位置で肘をかけられたり、シートに座った際に自然と視線や姿勢が保たれたり。人間工学の観点から考え抜かれているクルマは、ピタッと収まりがいい空間に仕上がるといいます。

PRELUDEは、いわゆるスポーツカーではなく、隣に大切な人を乗せて走るためのジェントルなクルマ。ドライバーだけでなく同乗者の快適性も追求し、助手席側はリラックス志向に寄せています。同じ車内にいながらドライバーと同乗者で異なる感覚を演出できる、PRELUDEらしい贅沢な空間設計となりました。

抜群のフィット感を求めて、実車でのインプレッション評価会と人間工学の専門家による解析を行い、数値と感覚の両面から厳密に検証した新型PRELUDE。その価値を最大限に発揮するため、随所の素材と色彩に隠し味を仕込んだのがCMFである渋谷です。

2人の感覚が交わる
PRELUDEの特別な空間

──ドライバーと同乗者で異なる感覚を演出する一方で、同じ気持ちを共有できる仕掛けもなされているのが新型PRELUDEの特徴です。渋谷は、現代におけるデートカーの定義を模索する中で、ドライバーと同乗者の2人で走る、2人で楽しむことの価値に着目。その上で、デートカーとしてのPRELUDEの色気と、グライダーに乗った時の空を滑るような爽快感を融合させ、デザインに落とし込んだそうです。

PRELUDE

渋谷
内装色では、軽快なホワイトと深みのあるブルーのハイコントラストコーディネーションで、グライダーの気持ち良さを想起させる表現に挑戦しています。開けた瞬間に風が吹き抜けるような爽快感をドライバーと同乗者の両方に味わってほしいです。

PRELUDE

渋谷
特別な時間を演出するために、インストルメントパネルとセンターコンソール、ドアアームレスト部分に、ホワイトの表皮を巻き込み、グライダーが翼を広げたイメージを表現しました。ホワイト合皮には、奥行きのあるテクスチャーシボを施し、色素材に深みを加えています。

PRELUDE
PRELUDE

渋谷
一方で、シートの腰回りなど包み込まれたいところは、深みのあるネイビーでコントラストを。1人の時はもちろん、2人で乗っても楽しく充実した時間を共有できるクルマなので、「2人」に掛け合わせてステッチにバイカラーを採用するなど、遊び心と特別感も取り入れました。

PRELUDE

PRELUDEはHondaデザイナーにとっても特別な存在

作り手の想いが導いた、新たな「前奏曲」

──人と人、過去と未来をつなぐ「前奏曲」という意味が込められているPRELUDE。同車の当時のユーザーは、今では40代半ば〜60代となり、Z世代の子や孫がいてもおかしくない年齢に。「X」から「Z」まで異なる世代やさまざまな関係性にアプローチし、時代を超えてときめきを共有できるようなPRELUDEを目指しています。

PRELUDE
PRELUDE

渋谷
初めてPRELUDEに触れた時は、とてもときめきました。私にとってPRELUDEは、作り手として憧れでありつづけるクルマです。

渋谷
歴代のPRELUDEオーナーの方々に話を聞く中で、誰もが「誰とドライブをしてどういう時間を過ごしたか」を鮮やかに思い出せたり、過去のモデルの好きなところをすごく語ってくれたりして、人生に刻まれるクルマなのだとわかりました。今回のPRELUDEも、選んでくれた人にとってそういう存在になってほしい。そして私自身は、歴代PRELUDEのような、人生に刻まれるモノづくりをしていきたいです。

PRELUDE
PRELUDE
PRELUDE

東森
歴代のPRELUDEが備える、唯一無二の「洗練さ」を引き継いでいきたいと思っていました。クルマにおいて「洗練」の定義は時代によって変わりますが、今ではなく少し先の未来に求められる洗練さを、ちゃんと先読みして取り入れていきたい。まさにPRELUDEは、まだ誰も見たことのない未来を先取りして見せてくれる存在です。気が早いですが、だからこそ次世代のデザイナーにも、「PRELUDE」というモデル名が放つ期待に応えるだけではなく、それを超えていく驚きと高揚をつくり続けてほしいです。

──構想から完成まで、いずれのフェーズでもこだわり抜いて誕生した新型PRELUDE。静と動、安定と浮遊をシームレスに繋ぐこのクルマは、電動化時代の「走る喜び」を塗り替える一台として再び走り出します。未来への鼓動を感じさせるような新たな走りと上質な空間を、多くのドライバーに届けたい──Hondaデザイナーのそんな想いがこのクルマには詰まっています。

PRELUDE

Profiles

東森 裕生

東森 裕生

オートモービル
プロダクトデザイナー

渋谷 恭子

渋谷 恭子

オートモービル
プロダクトデザイナー