CRF Stories

2004CRF250R

トップライダーからビギナーまで扱いやすい高性能マシンを目指して

2003年9月、CRF250Rが2004年モデルとして発売されました。
開発コンセプトは「FAST & EASY」。トップライダーがトップ争いを展開できる高い戦闘力と、ビギナーにも扱いやすい特性の両立を目指しました。
この相反する2つの目的を実現するため、CRF450Rで培ったエンジンとフレームを徹底的に見直し、総合力の高いCRF250Rが完成しました。
その性能を検証する場として選ばれたのが、CRF450R同様モトクロスレースです。
当時、4ストローク250ccは2ストローク125ccと同じクラスに位置付けられ、トップライダーからビギナーまで幅広い層が競い合っていました。
多様なユーザーが求める性能に応えるべく、開発チームは実際のレースの中でポテンシャルを磨き上げていきます。

全日本モトクロス選手権でプロトタイプがデビュー

2002年10月に宮城県のスポーツランド菅生で開催される、MFJ全日本モトクロス選手権最終戦の日本グランプリをデビューレースに決定しました。出場クラスは国際A級125ccで、2ストローク125ccと4ストローク250cc以下の出場が認められたレースです。
ライダーは、アメリカで活躍中のエルネスト・フォンセカ(Ernest Fonseca)選手。マシンは、CRF250Rのプロトタイプ。日本グランプリには、海外招待選手も多く出場しているため、激戦が予想されました。
フォンセカ選手は、CRF250Rにとってデビューとなるヒート1レースで優勝。つづくヒート2レースでも2位を獲得し、デビューレースからCRF250Rの高いポテンシャルを発揮しました。

CRF250Rプロトとエルネスト・フォンセカ選手

開発チームは、さらに実戦でのノウハウを吸収するためにHRCと連携し、翌2003年のMFJ全日本モトクロス選手権に出場することを決定。TEAM HRCは、CRF250Rプロトタイプをベースとしたマシンを、辻健二郎(つじ けんじろう)選手と芹沢直樹(せりざわ なおき)選手に託します。

2003年シーズン、辻選手は早くも第2戦で総合優勝。芹沢選手は、中盤にかけて2勝を挙げますが、怪我により後半戦の出場が困難になります。チームメイトの辻選手は、最終戦で総合優勝を飾り、シリーズランキングは2位となりました。
プロトタイプのデビューシーズンを通して、トップレベルに到達できるポテンシャルを確認し、市販車に貴重なノウハウを反映することができました。

CRF250Rと芹沢選手

CRF250Rと辻選手

CRF250Rの概要

2004年型 CRF250R

エンジン

CRF250Rに搭載した新開発エンジンは、水冷・4ストローク・OHC・4バルブ単気筒 249.4cm³。最高出力は、31.0Kw(42.4PS)/11,000rpmで、ライバルとなる2ストロークエンジン CR125Rの、30.5Kw(41.5PS)/11,500rpmを上回る性能を実現しました。
また、新開発の耐熱マグネシウム材をACGカバーに採用。クラッチカバー、シリンダーヘッドカバーもマグネシウム製とすることで徹底した軽量化を図った結果、エンジン重量は23.9kg(乾燥)を達成しました。

マグネシウム製ACGカバー

マグネシウム製クラッチカバー、シリンダーヘッドカバー

バルブ駆動システムには、CRF450Rと同様にHonda独自技術のユニカムバルブトレインを採用しました。
このシステムは、1本のカムシャフトにより吸気バルブを直押しで作動。排気バルブはロッカーアームで作動させるもので、一般的なOHCに比べて、高回転・高出力化が可能で、シリンダーヘッドをコンパクトにすることができるメリットがあります。

カムシャフト

ピストンは、ボア径78mmに対して高さがわずか31mmというミニスカートタイプを採用しました。重量は137gという軽量で、高回転、高圧縮比に対応しています。

ミニスカートピストン

コンロッドは、CRF450Rと同じ2重浸炭処理を施し、大端部にニードルローラーベアリングを採用。これにより、高回転での出力性能と耐久性を最大限に引き出しています。

コンロッド

車体

フレームは、2ストローク125ccクラスと同等で軽快感のある走りを目指し、新設計のアルミ製セミダブルクレードル・ツインチューブフレームを開発しました。サイズは、コンパクトなCR125Rと同一です。
また、4ストロークエンジン搭載による重心位置の変更により、キャスター角、トレール量、ホイールベースの最適化と各部パイプサイズの変更を実施し、最適なフレーム剛性としています。

CRF250Rの車体構成(リアフレームを取り外した状態)

モトクロスレースでの活躍

2004年のモトクロス世界選手権MX2クラスに、CAS Honda RACINGのジュシ・フェビライネン(Jussi Vehvilainen)選手がCRF250Rで出場。
ベルギー大会のヒート2で3位に入賞しますが、シリーズランキングは25位にとどまりました。

CRF250Rとジュシ・フェビライネン選手

2004年のAMAスーパークロスシリーズ125ccクラスには、American Hondaのネイサン・ラムゼイ(Nathan Ramsey)選手がCRF250Rで挑戦。125ccWestでシリーズランキング2位を獲得しました。

そして、CRF250Rは2005年シーズンに初の栄冠を獲得。MFJ全日本モトクロス選手権IA2クラス(国際A級ライセンス所有者で、マシンは2ストローク125cc以下、4ストローク250cc以下)において、TEAM HRCの福留善秀(ふくどめよしひで)選手がCRF250Rを駆ってシリーズチャンピオンを獲得しました。
CRF250Rは、モトクロスレースで鍛えられ、そこで得たノウハウを反映しながら進化を続けています。

CRF250R福留選手