Honda Stories

 

イノベーション 2023.07.07

【イベントレポート】人とくるまのテクノロジー展 後編 交通事故死者ゼロの世界へ。

【イベントレポート】人とくるまのテクノロジー展 後編 交通事故死者ゼロの世界へ。

「その先のテクノロジーが見える」をテーマに1992年から開催されている「人とくるまのテクノロジー展」。後編となる今回は、モビリティメーカーが常に追い求める「安全」に関する展示、そして、Hondaがベンチャー企業と進める完全循環型社会への研究をご紹介します!

交通事故死者ゼロへの次なる一歩「Next Concept」

2050年の交通事故死者数ゼロに向けて、世界初の自動運転レベル3車両の発売を果たしたHondaは、その技術をもとに安全運転支援技術も進化させていきます。

「Honda SENSING」は、車体のフロントに人間の目とほぼ同等の約100度の視野角を持つカメラを搭載し、前方の状況を把握。危険を察知した場合には、ブレーキやハンドル操作をサポートする仕組みです。

今回(2023年)の「人とくるまのテクノロジー展」で展示されたのは、その約100度の視野角を持つカメラに加え、フロントと車体の各コーナーに計5つのカメラを搭載する「Honda SENSING 360」と、その次世代技術である「Next Concept」。360度の視野を持ってクルマの周辺で何が起こっているのかを感知し、革新的な安全運転支援が可能になります。

カメラとレーダーを搭載したクルマを展示 カメラとレーダーを搭載したクルマを展示

例えば、見通しの悪い交差点での出会い頭の事故や、右直事故など前方以外の視野が必要になる場面でのサポート。また、クルマが自動で緊急回避のハンドル操作をしたり、降車時に後方から別のクルマが接近しているのを監視したりと、より多くのシチュエーションへのサポートが可能になるのです。

今回の展示では、クルマのフロントにモニターを起き、さまざまなトラブルに対してクルマがどのようにサポートしてくれるのかを体験できるデモンストレーションを実施。その技術を直感的に体感できました。

運転席に座ると、フロントガラスの前に設置されたモニターとインパネが連動し、緊急回避などの動きが体感できる 運転席に座ると、フロントガラスの前に設置されたモニターとインパネが連動し、緊急回避などの動きが体感できる

さらに、2021年11月に発表した「安全・安心ネットワーク技術」についても紹介。人とモビリティを通信でつなげ、AIを駆使して全ての交通参加者の状態や行動を予測することで、事故が起こる手前でリスクを回避するというコンセプトを紹介しました。

「Hondaの二輪・四輪が関与する交通事故死者ゼロ」を目指すことは、果てしない道のりかもしれません。それでもHondaは歩みを止めず、前へ進み続けているのです。

社会の変化とともに技術も多様化

今回のイベントでは「環境」と「安全」という2つのテーマを軸に展示を行ったHonda。そのブースには会期中多くの人が詰めかけました。

多くの人でにぎわうHondaの展示ブース 多くの人でにぎわうHondaの展示ブース
若手スタッフも熱心に説明を行った 若手スタッフも熱心に説明を行った

また、自動車技術会会長を務める本田技術研究所社長の大津啓司は、開会日の5月24日に、次のようにあいさつ。

「人とくるまのテクノロジー展」開会のあいさつを行う大津 「人とくるまのテクノロジー展」開会のあいさつを行う大津
大津
大津

今や避けて通れない地球規模の課題を乗り越え、持続可能な社会にしていくには「共創」と「循環」、これがカギになってくると考えています。カーボンニュートラルを実現するためにはライフサイクル全体で脱炭素化をしていく必要があり、これまでの資源を採掘し、製造し、廃棄するという一方通行のリニア型社会から循環型社会へ変換していかなければなりません。

主催者企画内のHondaブースでは、ベンチャー企業と連携した施策を紹介 主催者企画内のHondaブースでは、ベンチャー企業と連携した施策を紹介

主催者である自動車技術会の企画展示では、Hondaがベンチャー企業とタッグを組んで研究している、バッテリーのリサイクル技術を紹介する展示も。これはHondaがベンチャー企業とタッグを組んで研究している、劣化した「Honda モバイルパワーパック e:」のリサイクルを進め、完全循環型社会を実現するための装置です。劣化したバッテリーはまず他製品へ二次利用されるのですが、それすら難しくなったバッテリーは分解、破砕、分離精製してリサイクルを行います。その工程を革新的に短縮できる溶媒抽出技術「エマルションフロー」をHondaは今開発しようとしているのです。モビリティの分野だけではなくライフサイクルの視点でカーボンニュートラルを実現するためには、モビリティの電動化の後は原材料のリサイクルや資源の有効活用がカギとなってくるからです。

それ以外にも展示は様々あり、研究開発の進め方が多様化している側面が見られました。

今回のHondaが展示した数々の製品は、まさに時代・社会の変換を感じさせるものばかり。Hondaの次の展開への期待が高まる中で3日間の会期が終了しました。

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