開発者の想い 電動サーボブレーキシステム編

私たちがブレーキ電動化の取り組みを始めたのは2000年頃。その当時から『モーターで直接ブレーキの効きをコントロールする』という電動サーボブレーキシステムのコンセプトを守り続け、存在を感じさせない自然な動きを追及してきました。 交差点で普通に止まる時、雪道でABSが必要な時、そしてEVやハイブリッド車で回生協調をして、発電したエネルギーをたくさん回収したい時など、どんな時でも思った通りに動かせて、でも決してドライバーに違和感を与えない。

そんなブレーキを創りたくて…考えて、考えて、ようやく辿り着いたのが、ペダル操作部とブレーキ加圧部を独立させるという発想でした。そして、加圧部にはブラシレスモーターとギアとボールねじを使う事で従来にない高性能なブレーキが実現できると考えたのです。私たちはこのアクチュエーターを『モーター・シリンダ』と呼んでいます。

開発初期は、ブレーキに必要な性能を満たすためにモーターがとても大きく、電気もたくさん必要だったので電費にやさしいなんてとえても言えたものではありませんでした。そこでモーターの性能を最大限に引き出せる制御を新たに開発し、スムーズに動くボールねじを調達するなど、システム全体に改良を重ねることで、省エネルギーで高精度のブレーキコントロールが可能になったのです。 ただ、このシステムを色々な車種に搭載しようとすると、ブレーキペダルの重さ、加圧部の動き、パワートレインの働きなどが車によって異なるため、それぞれを上手に協調させないと違和感ばかりが目立ってしまいます。各車種が自然な動きを手に入れるには、操作部の構造やパワートレインによる発電制御、当然ブレーキの加圧制御も含め非常に綿密な調整が必要でした。

電動サーボブレーキの調整は一歩間違うと折角向上した電費があっという間に元通りになってしまうので、非常に手間のかかる作業です。調整時間にも限りがありますが、開発チームのメンバーはあきらめずにタイムリミットぎりぎりまで調整を進めてくれました。モーター・シリンダの高い性能も支えとなり、各車種に最適なコントロールが完成し、当初の狙い通りのスムーズで自然なブレーキフィールを実現することができました。

当初の狙いは達成できましたが、それに満足せず、これからも電動サーボブレーキをお客様の期待に応えられるようにさらに進化させていきたいと思います。

〜 電動サーボブレーキシステム編 〜

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