1953年、パワープロダクツ事業は、動力源としてさまざまな作業機械へ搭載が可能な汎用エンジンと、それを搭載した完成機(作業機械)の開発・製造と販売からスタートしました。さまざまな商品は世界中の多くのお客様にお使いいただき、パワープロダクツ事業の生産累計は1億7,000万台を超え、2023年で70周年を迎えました。現在のパワープロダクツ事業はエンジン商品に加え、持ち運び可能なバッテリーや商品の電動化など領域を拡大し、「移動と暮らしに新価値を提供する」事業へと可能性を拡げていきます。
年度 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 |
億円 | -402 | -422 | -323 | -337 | -257 |
環境規制の高まりを背景に、小型建機領域やガーデン領域においては比較的「小型」で「短時間運転」の商品から電動化が進んでいます。
その一方、ICE商品も「高出力・長時間運転」「お求めやすい価格」といった特長が用途に見合うことから、需要が継続しています。そのためHondaは電動化に主軸を置きながら、ICE領域についても環境対応を進化させることで、多様化する市場ニーズへ応える必要性を認識しています。
また、動力源にかかわらず作業労働の担い手不足に伴い、機械化による作業効率向上への需要は継続するとともに、「質の高い作業を効率的に行いたい」というニーズの高まりもあることから、自動化といった作業機本体の技術進化だけでなく、作業精度の改善など、現状に合った商品・サービスの提供が期待されています。
Hondaは1948年の創業以来、「人々の生活を少しでも楽にしたい、豊かにしたい、技術で人々の生活の役に立ちたい」という想いに基づき事業を行っています。
その想いを受け継ぐパワープロダクツ事業は、地域特性や変化する市場ニーズを踏まえ、Hondaの強みである高品質で魅力的な商品とサービスを通じ、世界中の意志ある人々の原動力になる商品やサービスを提供することで、社会課題の解決に取り組んでいきます。
主力のパワーユニットにおけるICE事業では、環境性能向上により継続的な進化を図り、エンジン販売で高いシェアを誇る建設業界では、電動パワーユニットの販売とその搭載支援を強化するとともに、法人向けには商品のみならず業務効率改善につながる取り組みも検討していきます。ガーデン領域については、芝刈機、刈払機などの領域で電動化を進めています。マリン領域においては大型船外機のラインナップを拡充し、拡大する市場ニーズに応えていきます。
電動パワーユニット「eGX」
大型船外機「BF250」
パワープロダクツ事業は、製品の電動化を通じてHondaの新価値を提供することで社会課題を解決し、人々の「仕事の質」と「暮らしの質」の向上に貢献していきます。
電動商品の展開においては、小型建機領域とガーデン領域の電動化に注力し進めていきます。また、二輪事業で発売した交換式バッテリー「Honda Mobile Power Pack e:( モバイルパワーパック イー)」をパワープロダクツ事業へも拡大していきます。
小型建機領域では、基幹事業で培ったB to Bの顧客基盤を活かした電動化を推進していきます。電動パワーユニット「eGX」の販売と搭載支援を通じ、完成機メーカーの電動化を後押しします。また、既存顧客のみならず、今後電動化が期待される領域での製品搭載の拡大を推進していきます。
Honda Mobile Power Pack e:(モバイルパワーパック イー)
「Honda Mobile Power Pack e: 」搭載
株式会社小松製作所の電動マイクロショベル「PC01E-1」
ガーデン領域では、歩行芝刈機の「きれいに刈れる」「耐久性」といった強みを武器に培った高いプレゼンスがあります。個人向けのロボット芝刈機「Miimo( ミーモ )」に加え、今後は法人向けの業務効率改善に向けて、コネクテッド技術により作業を効率化できる商品の検討も進めていきます。外部協業先とのパートナーシップも視野に、効率の良い開発・生産スキームで電動化を加速させていきます。マリン領域でも、今後、湖沼等でのICE製品の使用に関する規制が想定されるため、小型船舶用の電動推進機の実証実験を開始するなど、電動化に向けた取り組みを行っていきます。
ロボット芝刈機「Miimo(ミーモ)」(海外モデル)
小型船舶向け電動推進機プロトタイプ
国や地域によって多様化するニーズに柔軟に対応しながら、ICE製品の投入市場を見極め、二輪事業とのシナジーを活かし、部品の共用化や生産・調達体制の最適化など開発・生産領域における効率的なオペレーションを追求していきます。これを通じて、生産領域においても、商品魅力を向上させて、電動化に向けた事業体質の強化を図ります。同時に燃費改善 、カーボンニュートラル燃料対応技術といった環境性能を高めることで、さらなる競争力の高い商品・サービスを展開していきます。