製品 2026.02.24

Honda Italia Industriale ― 持続可能な未来へ

Honda Italia Industriale ― 持続可能な未来へ

Hondaは創業以来、グローバルとローカルの双方において、環境と社会に前向きな価値をもたらす存在であるべきだと考えてきました。その思想は、創業者・本田宗一郎から始まり、現在も「社会から存在を期待される企業でありたい」という信念に生きづいています。

Hondaが掲げる「Triple Action to ZERO」は、その哲学を体現しています。これは、2050年までにHondaのすべての事業活動における環境負荷をゼロにすることを目標とする取り組みであり、「カーボンニュートラル」「クリーンエネルギー」「リソースサーキュレーション」という3つの柱によって支えられています。

このチャレンジングな目標は、製品だけでなく、製造、物流、サプライチェーンを含むすべての事業活動の根幹にサステナビリティを据えることを意味します。そして、その実現には、Hondaで働く、あるいはHondaとともに歩む一人ひとりの情熱と努力が不可欠であると考えています。

今回のHonda Storiesでは、欧州の生産拠点の一つである Honda Italia Industriale(以下、HII) に焦点を当て、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを紹介します。また、その推進役であるHII マネージング・ディレクターのマルチェロ・ヴィンチグエラへのインタビューを通じて、未来へのビジョンを掘り下げます。

Honda Italia Industriale

1971年にイタリア・アテッサで設立されたHIIは、バイクの生産拠点です。約14万㎡の敷地において、年間約15万台を生産し、1,000名を超えるアソシエイトが働いています。欧州の他のHonda拠点と同様に、「Triple Action to ZERO」の達成に向けた取り組みを着実に進めています。

Honda Italia Industrialeの様子

その第一段階として、2030年までにCO₂排出量を2019年比で46%削減することを目標に掲げています。さらに、2034年までにスコープ1(事業活動に伴う直接排出)およびスコープ2(購入エネルギー由来の間接排出)におけるカーボンニュートラル達成に向けた明確なロードマップを策定しました。再生可能エネルギーの活用、特に太陽光発電の導入が重要な柱となっています。

 

工場屋根、駐車場エリアに導入された太陽光発電設備 工場屋根、駐車場エリアに導入された太陽光発電設備

「HIIでは、2017年10月に初の太陽光発電設備を工場屋根に設置し、2022年9月には駐車場エリアに2基目を導入しました」と、Hondaで約30年のキャリアを持つマルチェロは語ります。「現在、発電設備の総面積は9,575㎡を超え、昨年は年間電力消費量の14%を賄いました。夏季には最大21%に達します」

太陽光発電で賄えない電力についても、HIIでは100%再生可能エネルギー由来の電力を使用しています。さらに、週末など需要の少ない時間帯に発生する余剰電力を蓄電し、ピーク時に活用する方法についても検討を進めています。

一方で、エネルギー消費の約60%はいまだ天然ガスに依存していますが、2034年までに天然ガス使用ゼロを目指し、段階的な削減策を実行しています。その一環として生産工程におけるバイオガス活用の可能性も検討しています。

また、既存プロセスの改善による天然ガス使用削減も進めています。「2024年9月以降、低温塗料を開発し、金属塗装の焼成工程で使用するオーブンの温度を約50℃(120℃から70℃に)引き下げました」とマルチェロは説明します。

 

工場内で削減した数値は可視化されている 工場内で削減した数値は可視化されている

そのほかにも、工場全体へのLED照明導入、エネルギー効率の高いエアコンプレッサーの採用、電力ピークを抑制するインバーターシステムの導入など、多岐にわたる施策を実施。通勤に伴うCO₂排出削減に向け、アソシエイト向けのカーシェア制度も導入しました。

「サステナビリティは、Hondaにとって自然な取り組みです。それは『人間尊重』という価値観と一致しています。だからこそ、カーボンニュートラルに向けたロードマップで掲げたイノベーションやプロジェクトに対し、経営資源を重点的に投入し、コミュニケーションにも注力しています。課題に直面したとき、それを機会へと転換していくことが重要なのです」とマルチェロは語ります。

人が原動力となるサステナビリティ

HIIの象徴的な取り組みの一つが、「SH125i Vetro(ヴェトロ)」の導入です。イタリア語 ”ガラス”を意味するこのモデルは、半透明の外装パネルを採用することで塗装工程を一部省略し、ガス使用量とCO₂排出量の削減を実現しました。このアイデアは、HIIのアソシエイトから生まれたものです。

「このコンセプトは、ベテランのアソシエイトの着想から生まれました。製品内側の完成度を見せる半透明カウルというアイデアです。環境負荷を低減しながら、デザイン性も高めることができました」

半透明の外装パネルが特徴的な「SH125i Vetro(ヴェトロ)」 半透明の外装パネルが特徴的な「SH125i Vetro(ヴェトロ)」

この事例は、HII、そしてHondaが、サステナビリティの中心に「人」を据えていることを象徴しています。自由に意見を交わし、未来について議論できる環境が、革新を生み出しています。

Honda Italia Industriale のアソシエイト

「私たちの最も大きな成果の一つは、Hondaの『改善提案』システムに象徴されるボトムアップアプローチの強さです。アソシエイトは手を挙げて意見を出し、アイデアを共有し、ともに解決すべき課題を率直に指摘できる環境にあります。こうした参加型の文化こそが、継続的な改善を真に支えています。2024年には、約600名の参加者から1,150件のアイデアが寄せられており、組織全体でエンゲージメントが高まっていることを示しています」

また、サステナビリティや安全に関する提案を表彰する月次表彰制度や、潜在的なリスクを安心して共有できる「Safety Hakken」など、信頼を基盤とした仕組みも整えられています。さらにHIIは、サプライヤーに対しても専門知見を共有し、持続可能な取り組みをともに推進しています。

最後にマルチェロは、次のように締めくくります。

「人を中心に据え、一人ひとりを真の主役とすること。それこそが、私たちの文化であり、他にはない強みです。HIIには、Hondaファミリーとしての一体感があります」

 

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