
Hondaの安全運転普及活動最前線vol.2地域といっしょに考える交通安全 ホンダカーズ岐阜
交通安全の基本は“人”です。Hondaは1970年の安全運転普及本部発足以来、運転者だけでなく、こどもから高齢者まで、交通社会に参加するすべての人を対象とした交通安全啓発活動に積極的に取り組んでいます。今回は、日本の販売店全社をあげて取り組んでいる「安全運転普及活動」のなかで、特にこどもたちを対象とする交通安全教育普及、地域貢献活動によって高い評価を得ているホンダカーズ岐阜に活動への思いを伺いました。
- 株式会社ホンダカーズ岐阜
総務人事部部長澤 裕介さん - 2022年10月入社。人材派遣など人事サービス会社からキャリア採用で入社し、今年で3年目。人事、総務、SNSの発信管理など業務は多岐にわたる人事のプロ。愛車はJADE RS、趣味はスポーツ観戦。学生時代はラグビーで鍛え、「近年は外国勢との試合で日本が強くなってきているのが嬉しい」と笑顔。

- 総務人事部チーフ加賀谷 菜月さん
- 2014年4月入社。今年で勤続12年目を迎える、社内外とも認める「交通安全」のアンバサダー。産休明けに復帰する際に受付・事務から総務人事部へ異動。通勤でSTEP WGNを運転するほか、入社してから12年乗っているN-ONEも大事にしている。現在6歳と3歳のこどもを育て、休日は岐阜県内でショッピングに行くのが楽しみ。

- 総務人事部チーフ桑原 志帆さん
- 2015年4月入社。加賀谷さんとともに「交通安全」のアンバサダーとして活躍中。簿記や情報処理の資格を活かし長く経理部に所属していたが、澤部長の薦めで総務人事部に異動。愛車のN-ONEは「とにかくかわいくて、両親から入社記念に頂いたクルマなので愛着があり手放せません」。

「交通安全教室」「地域貢献活動」を本格化させたきっかけ
澤: 交通安全教室や地域貢献活動をやりたいという思いはずっと前からありましたが、今までできていないことを同じようにやっても、成果を出すことは難しいと思っていました。どうしたら交通安全教室を普及できるのか。Hondaの安全教育プログラムはすでにあるので、あとはマンパワーとタイミング、と思っていました。
そこで白羽の矢が立ったのが、総務人事部チーフの加賀谷菜月さんと桑原志帆さん。ホンダカーズ岐阜一筋で10年以上勤務してきた2人ですが、もともとは違う部署の出身。加賀谷さんは受付や事務、桑原さんは経理という畑違いな部署からの抜擢でした。
澤: 加賀谷さんは産休明けに復帰するというタイミングで総務人事部に。桑原さんには「新しいことに挑戦してみない?」と声をかけて、総務人事部に来てもらいました。
加賀谷: 一昨年までは、交通安全啓発活動はグループ各店舗の主導で行われていました。当然ながら、店舗ではクルマを販売することがメインですから、交通安全啓発活動を積極的にやろうという雰囲気ではなく、ほぼゼロの状態からスタートしました。しかも、交通安全推進活動をやると年度初めに決まっていたのは、私ひとりだけでした。
桑原: 私自身、10年近く経理部に所属していて、ずっとこの生活が続くのでは……と思っていたんですが、新しい気持ちで挑戦してみようと総務人事部に異動しました。交通安全啓発活動は、ひとりでは大変なこともあります。澤部長に「私も交通安全啓発活動をやらせてほしい」と相談したところ「いいよ、やってみよう」と快諾して頂きました。そこから、先に活動されていた加賀谷さんと一緒に、今までやったことのないことへのチャレンジが始まりました。
連絡した幼稚園・保育園は300件以上
澤: 最初に、企業としてやるためにはどうすべきか、問題は何なのかを徹底的に考えました。出した結論は「各店舗主導」だったから上手くいかなかったのではないかということでした。そこで、一昨年から(ホンダカーズ岐阜)本社に交通安全啓発活動の担当者を配置することにしました。それが加賀谷さんと桑原さんです。
加賀谷: ほぼ何もないゼロからのスタートで、まず私たちが始めたのは岐阜市や大垣市、県内の幼稚園・保育園のリスト作りでした。最終的に300件ほどをリストアップしました。
桑原:
一件ずつ地道に電話をしてアポ取りをするわけですが、「ホンダカーズ岐阜です」と言うと、どうしてもセールスだと思われてしまいます。幼稚園まで説明に伺っても教室開催につなげられないことはよくありましたし、公立の幼稚園・保育園の場合、まず市役所に話を……となることが多くて。市内にある幼稚園・保育園の全園長さんが集まる園長会の場にお邪魔して、交通安全教室のプレゼンをさせて頂いた時は一番緊張しました。
反応が良くなくて、教室の開催が難しそうな時は、帰りのクルマの中で加賀谷さんと「今日はダメそうだね」とふたりで落ち込みながら、励ましあいながらやっていました。今もそうですが(笑)。
加賀谷: 活動の成果として、幼稚園・保育園への交通安全教室の実施件数は初年度(2023年)は3件でしたが、24年度は40件まで増やすことができました。
―ホンダカーズ岐阜には19店舗があるなかで、どのように全店の意識を合わせていったのでしょうか?
澤: まずは「会社として担当を配置して、交通安全啓発活動をやっていく」という姿勢を全店に伝えました。あとは、加賀谷さんと桑原さんが熱心に活動してくれるので、僕はGOサインを出すだけです。
加賀谷: はじめに「会社としてやっていくぞ」と、澤さんが全店にアナウンスしてくれたのが大きく、私たちも活動しやすかったです。
桑原: 活動するにあたって、加賀谷さんとふたりで19店舗全店を回って、安全運転普及活動への思いや、交通安全教材「あやとりぃ ひよこ」のことを説明しました。また、クルマを買って下さるお客様と同じように、賛同して頂いた幼稚園さんにも誠実に対応して欲しいというお願いもしました。全店舗の担当者に営業に回るような気持ちでしたね。今年はより楽しんで活動してくれる人が増えましたし、幼稚園を紹介してくれるスタッフの方もいて嬉しく思います。
澤: 全店に説明する時も、ふたりは事前に練習してますから。本当にふたりを担当にしてよかった。やっぱり担当を決めて、会社としてやるんだという姿勢があればやれると思います。私たちは特別でもなんでもないし、人がたくさんいるわけでもない、ふたりだけです。ふたりの頑張りがとても大きいですね。
―交通安全教室を開催して、実際に幼稚園・保育園でのこどもの反応はいかがですか?
加賀谷: 24年度は「あやとりぃ ひよこ」、25年度は「できるニャン」の教材でこどもたちと交通安全を学んでいます。基本的に近くの店舗スタッフが交通安全教室を行うのですが、営業はスーツで、整備士はツナギを着て行きます。そうすると、ツナギ姿を見て「カッコイイ」と言ってくれる子もいますし、リアクションが素直です。
桑原: スタッフの制服にリボンが付いていると「かわいい」って女の子が近くに来てくれて。こどもたちは真っすぐで本当にかわいいですね。できるニャンがお気に入りになった子もいて、「できるニャン体操の動画ないの?」と聞かれたこともあります(笑)。交通安全教室は30分間やるのですが、終了後に園の先生が復習でこどもたちに問いかけると、「勝手に道路に飛び出さない」「歩道を歩く」と返事をくれるんです。それを聞くと、有意義な30分だったなと思います。先生も私たちの教材を参考にしてくれていて、お散歩に行く時も「横断歩道は手をあげて渡ろうね」「お姉さんたちが話してたよね」というふうに、こどもたちに教えてくれているんですよ。
加賀谷: ほかに印象に残っていることとして、交通安全教室で自分から前に出て問いかけに応えてくれた子がいたのですが、教室が終わった後に先生から御礼を言われたんです。普段はおとなしい子だそうで、積極性を引き出してくれてよかった、親御さんにも伝えておきますと。そういうふうに喜んでもらえると、自分のこどもと重ね合わせるような気持ちになって私も嬉しいですし、交通安全教室をやってよかったと思いました。
桑原: 園の先生以外の人が来ると、こどもたちが普段見せない一面を見せてくれる時がありますよね。マイクを持っていると「アナウンサーのお姉さん」と言って来てくれるのがかわいいです。「あやとりぃ ひよこ」「できるニャン」はこども向けの良い教材だと思います。園の先生が私たちを紹介する際にHondaのロゴを印刷してくれていたのも、嬉しく思いました。
澤: 実は私の出身幼稚園にも行ったんですが、昔話に花が咲いて、本当に楽しかった。仕事ではありますが、自分が行っていた園に行くとなると新鮮な感覚で、園の方にもなつかしく思ってもらえて。社会人になってから行く機会はなかなかないですから。
交通安全啓発活動から波及した地域とのつながり
澤:
「交通安全啓発活動」がもちろんメインではありますが、この取り組みで地域とのつながりも深まったのではないかと思っています。クルマを販売するだけでなく、地域の方とのつながりを広げられたことはよかったと思っているところです。従業員の意識も変わったのではないかと思います。
また、活動するにあたっては「きちんと完結させる」ことも重要視しています。開催後はSNSやnoteで活動内容を発信しているんです。やりっぱなしにせず、活動を認知してもらうことが大事ですから。発信を見た方が「うちでも開催して」と言ってくれると嬉しいですね。こういう活動はすぐに結果が出るわけではなく、地道なことですが、必ず見てくれる方はいるので、「発信」を大事にしています。
加賀谷: noteの発信を「見ました」「丁寧に書かれていますね」「興味深く拝見しました」と言って下さる方もいます。また、「発信」とは別に、教室開催後には全園に手書きでお礼状を出しています。次も開催できるように写真を同封し、教室で良かった点を書いたり、来年の開催に関するアンケートも一緒に送ったりしています。全箇所で継続して開催できたわけではありませんが、「何が足りなかったのか」を考えて次にトライしています。
澤: そう、それが大事! 開催も大事なんですが、やりっぱなしにしないで次につなげることが大事。お礼状は僕の指示ではなく、ふたりの意思でやってくれているんです。
桑原: また、交通安全教室が波及効果も生んでいて、夏にお仕事体験イベント「キッズタウンぎふ【2025】」に自動車販売員コーナーとして出展する機会をいただきました。弊社スタッフが長良川花火大会にボランティアとして参加したとき、幼稚園の先生をやってらっしゃる方とお会いして、それをきっかけに教室開催につながったこともあります。また、幼稚園の先生同士のつながりで別の幼稚園をご紹介いただいたこともあって、人とのつながりの重要さをとても感じています。
次は高校生への安全運転教育を
澤: 1年間で3件だった教室が、40件まで増やせたことは良かったと思います。これに加えて、次のチャレンジも考えています。「Honda SENSING」体感試乗会などの高校生向けの安全教室を企画中で、こちらは本当にゼロからのスタートです。 岐阜はクルマがなくてはならない土地柄で、これから免許を取り、クルマに乗ろうとする人も多い高校生に向けたものをと考えました。クルマには安全機能もありますが、最終的な安全を実現するのは人間の運転です。安全機能は万が一のための機能であって、運転者自身が気を付けないといけない。大事なのは「安全機能に頼らない運転をする」ことです。 もうひとつの理由としては、自社の魅力を伝えて、将来一緒に働く仲間になってもらおう、という人事的なチャレンジもあります(笑)。
加賀谷/
桑原:
また電話からのスタートです(笑)。「交通安全」といえば私たち、という思いも生まれて、自分自身の運転に対する意識がかなり変わりました。私たちは絶対、事故できないね、と。澤さんからは動画編集やインスタ運営などの“無茶ぶり”がきますが(笑)、“まずはやってみよう”という気持ちで取り組んでいます。