SCENE 78市街地の交差点右折して横断歩道を横切るところです。
あなたは市街地の交差点で右折しようとしており、
バイクが通過してから曲がり始めたところです。
横断歩道の歩行者用信号は点滅していて、
小走りの男性がすでに渡り終えるところなので、
このまま横断歩道を通過しようと思います。
この時、あなたは何に注意しますか?
交通事故が最も多い場所は「交差点」。
そのうち最も多いのが「右折時」の事故!
令和3年に交通事故は30万5,196件起きており、そのうち最も多いのが「交差点」での事故で、13万658件(約43%)に上ります。信号のない交差点での事故が7万7,705件と多いものの、信号がある交差点でも5万2,953件の事故が発生しており、そのうち最も多いのが「右折時」の事故(1万4,807件)になります。
右折するときには、信号はもちろん、対向車の有無や速度、対向車との距離、さらに横断歩道の状況など注意すべき対象が多くなるため、判断の誤りや見落としなどが起きがちなので注意が必要です。
(資料=交通事故総合分析センター)
信号の変わり目は、駆け込む自転車等に注意!
曲がる直前にも右側・右後方を目視する。
信号の変わり目で右折する際に注意したいのが、横断歩道に駆け込む歩行者や自転車の存在です。今回、問題の場面をよく見ると、視野の右端に自転車の前輪が見えていましたが、ドライバーが右側をしっかり目視しないと確認できないことも多いので注意が必要です。
しかも、歩行者や自転車からは曲がってくる車がよく見えるので、自分が見落とされているとはまず思っていないため、ドライバー側の見落としが事故に直結してしまいます。
また、自転車は速度が速いため、右折待ちの際には遠くにいた自転車が、曲がり始めたときに急に目の前に現れることもあります。今回、アニメーションをよく見ていれば、右側の歩道をこちらに向かって走ってくる自転車の存在が確認できます。そのとき「自転車が横断歩道を渡ってくるかも?」と予測し、実際に曲がり始める際にもう一度、右側と右後方を目視するようにしましょう。
交差点での右折時は、慌てないこと!
対向車の死角にも注意を払う。
今回のように対向車の切れ目で右折する際は、焦らずしっかり安全確認することが大切です。右折待ちの態勢に入ったら、慌てずに対向車線だけではなく右折した先の横断歩道もしっかり確認しておきましょう。この交差点のように右折専用の矢印信号がない場合、右折する後続車が続いていると「早く曲がらないと」と気持ちが焦り、さらに歩行者用信号が点滅すれば「赤にならないうちに」といっそう焦る気持ちが高まります。
そんなときこそ見落としが増えて事故が起きやすくなるため、対向車線の流れが途切れてもすぐに曲がらず、対向車の死角にバイクなどがいないか注意を払うことも必要です。バイクは四輪車に比べて車体が小さいため、実際より遠くにいるように見えたり、スピードが遅く感じたりします。その結果、右折の判断を誤り事故につながることが少なくないので十分注意しましょう。下記サイトで右折時のポイントを説明しています。
自転車からの視点
上は横断する自転車の運転者から見たものです。自転車からは曲がってくる車はよく見えていますが、右折車のドライバーは対向車やすでに横断している歩行者の動きに気を取られ、右側から駆け込んでくるあなたの存在に気づかないことがあります。とくに信号の変わり目はドライバーも急ぐため、横断する自転車や歩行者の見落としが増えます。事故を防ぐためには右折車の動きに十分注意し、車が停止するのを確認してから通過するようにしましょう。
なお、警察庁のデータでは、自転車乗車中の事故で死亡した人の約6割が頭部に致命傷を負っています。また、ヘルメットを着用していなかった人の致死率は、着用していた人と比べて約2.2倍高くなっています(平成29年〜令和3年の合計)。これまでは保護者が児童または幼児を自転車に乗車させるとき、ヘルメットを着用させることが努力義務でしたが、道路交通法の改正により、令和5年4月からすべての自転車利用者に対してヘルメットの着用が努力義務となりました。事故時の被害軽減につながるので、自転車に乗る際はヘルメットを着用するようにしましょう。