SCENE 76丁字路の交差点信号が青に変わったので急いで渡ろうと思います。
昼下がり、あなたは会社に急いで戻ろうと、
丁字路の交差点で信号が変わるのを待っています。
ようやく信号が青に変わり、交差車両が停止したので、
急いで渡ろうと思います。
この時、あなたは何に注意しますか?
信号の変わり目に急いで渡るのは危険!
すべての車両が止まるのを確認してから渡る!
急いでいると、つい前方の歩行者用信号ばかり見て、信号が変わった途端に渡り始めてしまいがちですが、それは危険です。問題の場面をよく見ると、車は停止していましたが、右側から来ていた自転車はまだ停止線の手前を走行中でした。この自転車が停止線の手前で止まるのを確認してから渡る必要がありました。
信号の変わり目では、赤信号になったにもかかわらず、急ぐあまり無理に通過したり、信号が変わるのを見落としていたりする運転者もいます。車やバイク、自転車など、すべての交差車両が完全に停止するのを確認してから渡り始めるようにしましょう。また、歩行者も信号待ちの際にスマホなどを見ていると、さらに周囲の状況が確認できないまま不用意に渡り始めてしまうため注意が必要です。
減らない「自転車×歩行者」の事故!
交差点の横断歩道で多い、信号無視や歩行者妨害。
過去10年間の交通事故件数の推移を見ると、交通事故全体は平成24年には66万5,157件だったのが、令和3年には30万5,196件と半分以下に減少しています。しかし「自転車(1当・2当※)×歩行者」の事故は2,625件から2,733件と減少していません。
また、自転車は条件さえ許せば横断歩道や歩道も走行できるため、今回のように都合よく車道から交差側の横断歩道に進入することがあり、信号無視や歩行者を妨害するようなケースが少なくありません。実際、令和3年に「交差点の横断歩道」で起きた自転車(1当)の違反別事故件数(285件)を調べると、自転車の「信号無視(88件)」が最も多く、次が「歩行者妨害等(84件)」になっています。
※事故の当事者の中で過失が重い順に「1当(第1当事者)」、「2当(第2当事者)」となる。過失が同程度の場合、けがの程度が軽いほうが1当となる。
(資料=交通事故総合分析センター)
自転車×歩行者事故の死傷者の
96%は歩行者(※)
事故の被害者にならない注意が必要!
自転車と歩行者の事故では、身体的な被害を受けるのは圧倒的に歩行者になるため、自分の身を守る細心の注意が必要です。今回の場合では、たとえ信号が青になってもすぐに渡らず、左右の安全確認を行い、すべての車両が止まったかを確認します。横断中も自転車が近くを走行してきたり、車両が右左折してきたりすることがあるため、それらの動きにも気を配って横断しましょう。
※令和3年に起きた「自転車(1当)×歩行者(2当)」の事故による死傷者数2,741人。そのうち歩行者は2,636人(約96%)。
(資料=交通事故総合分析センター)
自転車からの視点
上は交差道路を走る自転車から見たものです。自転車は軽車両なので信号に従う必要があります。ここでは車両用の信号に従う必要があり、すでに赤だったので停止しなくてはいけませんでした。
軽車両である自転車は、車の仲間です。交通ルールを守っていなかった場合や、危険な走行で事故を起こしてしまった場合は、車やバイクの運転者と同じように「刑事責任」「民事責任」を問われることがあり、実際に刑罰を受けたり、多額の損害賠償を請求されたりする事例も少なくありません。
なお、今回のように交差点を右に進みたい場合、自転車は二段階右折をしなくてはいけません。青信号で交差点の向こう側まで進み、停止して向きを変え、前方の信号が青になってから直進します。自転車横断帯があれば、そこを通行します。ない場合、横断歩道を通行することもできますが、横断歩道に横断中の歩行者がいないなど歩行者の通行を妨げるおそれがない場合を除き、自転車から降りて押して横断するようにしましょう。