SCENE 72中央分離帯のある道路片側2車線の道路をバイクで走っています。
あなたはバイクで片側2車線ある道路を走っています。
白い車と並走して左側の車線を走っていたところ、
中央分離帯の切れ目から赤い車とトラックが曲がってきて、
赤い車は左側のコンビニエンスストアに入りました。
この時、あなたは何に注意しますか?
安易に右折と思い込まず、
Uターンの可能性も予測する!
赤い車に続いてトラックが曲がってくると、ついトラックも続けて右折してコンビニなどの店舗に入るものと思いがちですが、分離帯の切れ目や交差点では対向車が右折ではなくUターンする可能性もあります。トラックのUターンを予測していないとブレーキ操作が遅れて衝突する可能性があったり、たとえ急ブレーキをかけ衝突は免れても、後続車に追突される危険性があります。対向車が曲がり始めたら、決して「右折だろう」と思い込まず、減速しながら相手の動きに十分注意しましょう。
なお、今回の場合、白い車が右車線を走行しているため、車線変更によって危険を回避することは難しくなります。白い車がいなくても、慌てて車線変更すればミラーの死角にいる車両を見落としたり、急な車線変更によってバランスを崩す危険性もあるので注意が必要です。
曲がる速度や車体、タイヤの向きなど、
対向車の動きに十分注意し、事故防止につなげる。
一見、トラックのUターンは想定外なことですが、問題の場面でトラックの曲がる速度、車体やタイヤの向きに注意すれば、トラックのUターンもある程度予測できます。Uターンの場合、右折時より速度が遅く、車体や前輪の角度が大きくなる傾向があります。対向車のそのような動きに気づいたら、「Uターンかもしれない」と考えて速度を落とし、相手の動きに十分注意して走行するようにしましょう。令和元年に起きた自動二輪車の事故件数(1当+2当※)を法令違反別で見ると、相手の動静を注視していなかった「動静不注視」が4,714件と最も多くなっています。このことからも、相手の動き(動静)に注意することは、事故防止につながるため、とても重要です。
(資料=交通事故総合分析センター)
※事故の当事者の中で過失が重い順に「第1当事者」、「第2当事者」となる。過失が同程度の場合、けがの程度が軽いほうが第1当事者となる。
急な操作をすることがないよう、
予測運転を心がける。
二輪車は急ブレーキをかけるとタイヤがロックしたり、車体のバランスを崩して転倒する危険性があります。急ブレーキや急ハンドルの危険性を認識し、急な操作をすることがないよう、周囲の動きに十分注意して早めに減速しておくことが大切です。
2018年10月から排気量125cc以上の二輪車(新型車)にABS(アンチロックブレーキシステム)の装備が義務化され、ABSが装備されていれば、急ブレーキをかけてもタイヤはロックせずに安定して止まることができます。ただし、ブレーキング時にハンドルが左右に切れていたり、車体が斜めになった状態では、たとえABSが付いていてもバランスを崩して転倒する危険性があるので過信は禁物です。
なお、下記のスクールでは、運転レベルに合わせたブレーキングやコーナリングなどの不安解消やスキルアップのポイントを、安全な環境でわかりやすくアドバイスしてくれます。
ホンダ「バイクのスクール」
トラックからの視点
上は対向車のトラックから見たものです。Uターンは速度が遅くなるうえ、今回のように曲がり切れない危険性があります。無理に対向車の切れ目で曲がろうとせず、対向車が完全に途切れるのを待ってから曲がるようにしましょう。とくに対向車がバイクの場合、車体が小さく速度や距離を見誤る危険性が高くなるので注意が必要です。
なお、令和元年に起きた事故を行動類型別で見ると、転回(Uターン)による自動車事故は1,788件に上っています。Uターンは周りの車の通行を妨害したり、事故の原因になる可能性が高い運転行為です。標識や路面標示でUターンが禁止されている場所はもちろん、たとえ禁止されていなくても、歩行者や他の車両の交通を妨げる場合もUターンは禁止されています(道路交通法第25条の2)。交通量が多かったり、夜間や雨天時など見通しの悪い場合はとくに事故につながる可能性が高いため、Uターンを控えることも必要です。
(資料=交通事故総合分析センター)