SCENE 71住宅街の横断歩道下校時、横断歩道を渡ろうとしています。
小学1年生のあなたは、学校から自宅に帰ろうとしています。
横断歩道を渡ろうと車が途切れるのを待っていたところ、
白い車が止まってくれたので、急いで渡ろうと思います。
この時、あなたは何に注意しますか?
歩行中の死傷者数で最も多いのが7歳児!
「横断中」と「下校時」の事故が多い。
今回、子どもは横断歩道で車が停止してから渡ったのですから、まったく落ち度はありませんが、車やバイクなどの運転者の安全確認が不十分なケースも多く、事故が多く発生しています。歩行中事故の死傷者数を年齢別で見ると7歳児が最も多く、令和元年では951人に上ります。事故類型別では「横断中(横断歩道)」が最も多く、小学1年生の横断中(横断歩道)死傷者数は300人に上っています。横断中に限らず歩行中事故を通行目的別で見ると、小学校低学年ほど「通学時」の死傷者数が多く、小学1年生では432人に上り、そのうち「下校時」が262人と多くを占めます。
今回のように下校時は友達と離れて一人になることも多いので、日頃から保護者の方は子どもに通学路で事故が起きやすい場所を教えたり、横断歩道でも事故が起きることを教えて、横断時の安全確認のやり方を改めて指導することが大切です。
(資料=交通事故総合分析センター)
譲られても急いで渡らない!
止まった車の側方を通過してくる車両に注意!
車が停止して横断を促してくれると、つい安心して渡ってしまいがちですが、それは危険です。今回のように止まった車の後続車が人の横断に気づかず、車の側方を通過してくることがあるからです。問題の場面を見ると、白い車の後方(右側)にバイクが見えるので、このバイクが減速・停止するのをしっかり確認することが大切です。とくに子どもは、身体が小さく車の陰に隠れて見落とされやすいので、より注意が必要です(下記動画参照)。
また、横断歩道で車が止まってくれると、ドライバーに気兼ねして急いで渡りがちですが、決して走らず、「右、左、右」と安全確認してから歩いて渡り、止まった車の前を通り過ぎる前にもう一度立ち止まり、改めて左右の安全を確認してから渡るようにしましょう。
横断歩道で停止しない車もいるが、
必ず横断歩道を利用して渡る!
横断歩道は歩行者優先で、渡ろうとする歩行者がいたら運転者は一時停止して歩行者に道を譲らなければいけませんが、令和2年にJAF(日本自動車連盟)が全国で調査したところ、歩行者が横断歩道を渡ろうとしているときに一時停止した車は、全国平均で約2割にとどまっています。横断歩道でなかなか車が止まってくれないと、車の切れ目で無理な横断をしたり、あえて横断歩道を利用せず、横断歩道がない場所で渡ってしまいがちですが、近づいてくる車の速度を見誤ったり、横断歩道でない場所で横断すると、運転者からの発見が遅れたり見落とされる危険性が高くなるので、必ず横断歩道を利用するようにしましょう。
子どもは身体が小さく、横断歩道で立っていても運転者から見落とされやすいので、手を挙げることも有効です。ただ、片手を挙げたまま横断すると、身体のバランスを崩したり目視が不十分になるので、無理して手を挙げたまま横断する必要はありません。
バイク側の視点
上はバイク側から見たものです。このように信号のない横断歩道等やその手前の直前で停止している車両等がある場合、その車両の側方を通過して前方に出ようとするときは必ず一時停止しなければなりません(道路交通法第38条)。また、横断歩道や自転車横断帯とその手前から30m以内では、他の車を追い越したり、追い抜くことも禁止されています。
横断歩道や自転車横断帯は歩行者(自転車)優先です。横断する人や自転車がいないことが明らかな場合を除き、その手前で停止できるように速度を落として進まなければいけません。これらの交通ルールを守っていれば、たとえ問題場面で横断してくる子どもの姿を見落としたり、発見が遅れても、事故を防止することができます。
なお、信号機のない横断歩道などの手前には、右写真のような白い菱形の路面標示がありますが、これは「横断歩道または自転車横断帯あり」を示すものです。この標示は横断歩道等の40〜50m手前と30m手前の2か所にあります。これを見たら、前方に横断歩道等があり、人や自転車が横断してくる可能性を考えておきましょう。