SCENE 67市街地の交差点朝の通学時、交差点を直進しようとしています。
朝の通学時、片側2車線ある道路の左端を自転車で走っています。
右側にはトラックが走っており、その左側を同じ高校の学生が乗る自転車が通過しています。
前方の歩行者・自転車専用信号が点滅を始めたので、前の自転車に続いて急いで交差点を直進しようと思います。
この時、あなたは何に注意しますか?
自転車事故による死傷者で最も多い「16〜19歳」。
通学時の死傷者が半数を超える!
平成30年の自転車乗車中死傷者数(84,383人)を年齢層別で見ると、「16〜19歳」が12,603人と最も多く、通行目的別で見ると「通学等」が6,934人と半数を超えています。つまり、16〜19歳の自転車事故による死傷者の多くが、通学時の高校生であると言えます。
16〜19歳の法令違反別事故件数(1当+2当※)で多いのは、「安全不確認(3,003件)」「交差点安全進行(1,743件)」「動静不注視(1,679件)」の順になります。
今回の場合、トラックが左ウインカーを点けて左折しようとしているのを見落とさず、相手がどう動くかをしっかり確認してから、側方を通過する必要があります。
ちなみに、このような「左折巻き込み」による事故は、大阪府(334件)や神奈川県(248件)、東京都(157件)などの大都市で多く、全国では1,136件起きています。
(資料=交通事故総合分析センター)
※事故の当事者の中で過失が重い順に「第1当事者」、「第2当事者」となる。過失が同程度の場合、けがの程度が軽いほうが第1当事者となる。
左折巻き込みによる死亡事故のうち、
大型トラック(8トン超)によるものが9割!
国土交通省が左折時の自転車巻き込み事故を調べたところ、2008〜2017年の10年間に7,584件、そのうち死亡事故は149件発生していました。死亡事故149件中の9割に当たる133件が8トン超の大型トラックで、死者が出る割合を分析すると、大型トラック以外では0.23%だったのに対し、大型トラックでは18.68%と約80倍に上っています。死亡率が高い原因には大型トラックの死角の大きさがあります。車高が高いぶん、助手席のドア付近の死角が大きく、今回のようにトラックの側方を通過する自転車は見落とされやすいので注意が必要です。
2022年5月以降に発売される新車の大型トラックには、左折時にトラックに近づく自転車を検知し、ドライバーに注意を促す「側方衝突警報装置」の装着が義務付けられましたが、これまで販売されているトラックにはそのような装置はないので、トラックドライバーはもちろん、自転車に乗る側も十分注意する必要があります。
(資料=国土交通省)
左折する車両の側方に入らない!
「相手が譲ってくれる」とは思わない。
車のドライバーは基本的に前方を見て走っているので、後方から近づく自転車やバイクに気づきにくいものです。とくに自転車は小さく目立たないため、車のミラーでは見えづらかったり、ミラーの死角に入って見落とされる危険性もあります。大型トラックに限らず、左折しようとしている車の側方を通過するのは危険なので、車を先に行かせてから直進しましょう。
なお、平成30年に起きた左折車と自転車の事故件数のうち、自転車側に人的要因があった6,480件(1当+2当※)を調べたところ、安全不確認(2,908件)と動静不注視(2,890件)が多く、動静不注視のうち「相手が譲ってくれると思った」が1,824件に上っています。今回のように前方を別の自転車が通過していると、そのままトラックが停止してくれると思いがちですが、見落とされていることもあるので、安易に前の自転車に続いて通過しないようにしましょう。
(資料=交通事故総合分析センター)
※事故の当事者の中で過失が重い順に「第1当事者」、「第2当事者」となる。過失が同程度の場合、けがの程度が軽いほうが第1当事者となる。
トラックからの視点
右は大型トラックが左折する際、運転席から左側を見たものです。大型トラックは車高が高く助手席付近の死角が大きいため、通常のサイドミラーに加えて、助手席の側方が確認できる下向きのサイドアンダーミラーも付いています。また、このように助手席のドア下部に安全確認用の窓が付いている車もあります。これらは左折時の巻き込み事故を避ける重要な安全装備なので、左折する際は十分活用して、自転車やバイクが側方にいないか、しっかり確認してから曲がるようにしましょう。なお、安全確認用の窓を物で塞いで見えなくすることは、安全上問題があるのでやめましょう。