SCENE 66農道の交差点信号のない交差点を直進しようとしています。
あなたは郊外にある見通しのいい農道を走っています。
周囲には田畑が広がり、ビニールハウスや住宅が点在しています。
左側に軽トラックが止まっている信号のない交差点を
前の車に続いて直進しようとしています。
この時、あなたは何に注意しますか?
見通しのいい農道では、「交差点の存在」と
「ピラーの死角」に注意!
このような農道は、交通量が少なく、歩行者も滅多にいないため、走りやすいものです。今回のような信号や一時停止の規制がない交差点は少なくありませんが、見通しがよく交差車両も少ないため、さほど注意せずに通過してしまうものです。とくに前を走る車に追従していると、漫然と前車ばかり見て走りがちです。左右から車やバイクが来ていても見落としたり、気づくのが遅れる危険性があるので、交差点の存在を認識して、通過する際はしっかり左右を確認することが大切です。
左右を確認する際はピラー(柱)の死角に注意します(図参照)。今回、問題の場面でピラーの右側に車の一部が見えていましたが、小型の車や二輪車、歩行者はピラーの死角に完全に隠れてしまうこともあります。また、速度やタイミングしだいでは、交差車両がピラーの死角に入り続けてしまうこともあるので、頭を左右に動かしてピラーの死角に車などが隠れていないか十分確認するようにしましょう。
見えているのに認識できない!?
田園型・十勝型事故の危険
今回のような見通しがいい交差点でも出会い頭事故が起きています。田園型事故や十勝型事故と呼ばれる事故形態で、主な原因に「コリジョンコース現象」があります。コリジョンは英語で「衝突、激突」という意味で、下図のようにお互いに同じ角度、同じ速度で交差点に近づくと、相手の車両が物の形や色がはっきり認識できない「周辺視野」にあることで、止まって見えたり、見落としてしまう危険な現象です。
これは避けるには、物の形や色がはっきりと認識できる「中心視野」で見ることが大切で、交差点に近づいたら、しっかり左右に顔を振って確認するようにしましょう。
信号のない交差点では、優先意識を捨て、
交差車両の動静に注意する!
信号や一時停止の規制がない交差点に交差車両が同じタイミングで近づいている場合、どちらに優先権があるか問題になります。信号がない交差点での優先権については、道交法第36条に「左方車両への進行妨害の禁止(※1)」や「広路車両等への進行妨害の禁止など(※2)」といった規則がありますが、すべてのドライバーがその規則を知っているとは限りません。また、交差道路と道幅が同じくらいの場合、自分が走っている道のほうが交差道路より広く見えるので、優先権があると勘違いしてしまう危険性もあります。交差側のドライバーも同じ意識でいれば、お互いに譲らず事故になってしまいます。交差車両がある場合は、安易な優先意識は捨てて、必ず徐行や一時停止をして相手の動静に注意することが大切です。
※1 車両等は、交通整理の行われていない交差点では、交差道路を左方から進行してくる車両の進行妨害をしてはならない。
※2 車両等は、交通整理の行われていない交差点で、交差する道路の幅員が明らかに広いものであるときは、その幅員の広い道路を進行してくる車両等の進行妨害をしてはならない。また、その交差点に入ろうとする場合には徐行しなければならない。