SCENE 60真冬の住宅街雪が降った翌日、住宅街を走っています。
あなたは雪が降った翌日、住宅街を車で走っています。路肩や歩道には雪が残っているものの、道路の雪は解けて、路面は乾いています。左側には男性と雪かきをしている女性がいて、左カーブの手前で対向車とすれ違うところです。この時、あなたは何に注意しますか?
降雪後は、日陰や橋、
高架道路の残雪・凍結に注意!
まず問題の場面を見たとき、カーブの先が日陰になっている点を見逃さないことが大切です。今回のように建物などで日陰になっている場所は、路面の雪が解けずに残っていたり、凍結していることがあるからです。
見通しの悪いカーブを走る際は「見通せる範囲内で止まれる速度で走る」ことが基本になりますが、冬期は路面に雪があったり凍結していて制動距離が延びる危険性があるので、いつもよりさらに速度を落として慎重にカーブに入ることが大切です。
なお、日陰以外でも、橋や高架道路は地熱がなく道路が下からも冷やされるため、雪が解けにくくなります。また、裏通りや路地は交通量が少なく、雪が解けにくかったり、幹線道路と違って除雪されていないこともあるので注意しましょう。
降雪後は凍結路にとくに注意!
積雪路に比べて制動距離が大幅に延びる
降雪後、路面の雪がほとんど解けてしまうと、つい油断して走ってしまいがちです。しかし、降雪後は日陰などに残った雪が踏み固められたり、雪解け水が凍るなど、路面が凍結することがあり、積雪時より滑りやすくなります。
日本自動車連盟(JAF)がノーマルタイヤも含め、スタッドレスタイヤやタイヤチェーンなどで時速40kmからの制動距離を比較した結果、圧雪路ではすべて30m以内で停止できたのに対し、凍結路では最も短かったタイヤチェーンで59m、スタッドレスタイヤは78.5m、ノーマルタイヤに至っては105.4mと、圧雪路と比較して大幅に制動距離が延びました(下記動画参照)。
このように凍結路などではチェーンが優位になるケースがあるため、大雪による車の立ち往生防止対策として2018年12月から高速道路と国道の一部区間(今季13区間)で大雪特別警報や大雪に対する緊急発表が出るような異例の降雪時には、チェーンの装着が義務付けられました。その際は冬用タイヤを使っていても、チェーンを装着しないと通行できないので注意しましょう。
なお、平成29年の路面状態別事故件数でも、積雪路が3,140件なのに対して凍結路が4,682件と、凍結路のほうが約1,500件も事故が多くなっています。(資料=交通事故総合分析センター)
【JAFユーザーテスト】
雪がある道では、歩行者の転倒や
対向車のはみ出しにも注意!
降雪時や降雪後は、歩行者にも注意が必要です。とくにあまり雪が降らない地域では、歩行者は雪道に慣れておらず、足を滑らしたり、転倒する危険性が高くなります。また、歩道が除雪されていない場所では、歩行者は雪のない車道を歩こうと、不用意に車道に出てくることもあります。 歩行者を見たら、いつも以上に速度を十分落とし、転倒したり道路に出てくる可能性も考えて、歩行者の動きに注意し、多めに間隔を空けて通過するようにしましょう。 また、路肩に雪が残っていると、車両は雪を避けてセンターライン寄りを走りがちです。とくに今回のような左カーブでは、対向車がセンターラインをはみ出してくる危険性があるので、より速度を抑えてカーブに進入しましょう。
対向トラックからの視点
上の絵は対向するトラックから見たもので、日陰になっている手前の路面には雪が残っているものの、カーブの先の路面には雪がありません。そこから対向車が路面の雪に気づくのが遅れ、十分減速せずにカーブに進入してくる危険性を予測しておく必要があります。対向車が車線をはみ出す可能性を考えて、事前にできるだけ速度を落とし、センターラインに寄らないようにします。
ただ、路肩に雪が残っていると、左に寄せてスリップしたり、ガードレールに接触するおそれがあります。また、路肩に側溝があれば、脱輪する危険性もあるので、無理のない範囲で路肩に寄せて速度を落とすようにしましょう。