全国大会開催日:2017年12月3日(日)
東京都江東区「有明コロシアム」
今年もロボットへすべてをかける高専生たちの熱い一日がやってきました!
「アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト」(以下、高専ロボコン)は、挑戦と失敗を繰り返しながらアイデアをカタチにすることで、チームワークでのモノづくりの喜びを若者たちに体感してもらうための全国規模のイベント。次世代を担うエンジニアたちの、モノづくりに対する情熱とチャレンジを全力で応援するためにHondaは2002年から特別協賛を続けています。
全国大会の会場である有明コロシアムには、全国124チームの中から熾烈な地区大会を戦い選ばれた計26チームが集結。
30回という節目の年でもある今年は、地区大会から個性豊かなロボットたちによる激闘が繰り広げられました。
会場内が熱気に包まれるなか、第30回高専ロボコンの全国大会がスタート。開会式ではHondaの「UNI-CUB」に乗った忍者が登場し、デモンストレーションで、ルールの説明が行われました。
毎年テーマとルールを変えることで、高専生の情熱を掻き立て続けてきた高専ロボコンの、今年のテーマは「大江戸ロボット忍法帳」。
赤・青チームの本陣に設置されたX型の台座に10個ずつ、各ロボットには5個ずつ風船が取り付けられており、忍者のごとく敵陣に忍び込んですべての風船を割るか、相手ロボット2台のすべての風船を先に割ったほうが勝利となります。
刀を装備するということ以外、ロボットの造作は高専生たちのアイデアに委ねられており、練り上げられたチームの戦略に合わせて設計されたムチや槍、弓矢など、高専生の創意工夫の結晶である「秘密道具」が、勝負を大きく左右するポイントになりそうです。
今回は10年ぶりにフィールド上でロボット同士がぶつかり合うガチンコ対決。スピードだけでなく、当たりの強さや丈夫さ、風船の割り方と風船を正確に捉えるコントロールなど、ロボット本体の性能とそれを操作する技術が勝負の鍵を握ります。
各チーム3台までロボットを持ち込むことができるので、相手によって使うロボットを変えるのか?など、選択肢は無限大!
Hondaからは今回、本田技術研究所の脇谷勉上席研究員が審査員として参加。
審査員席で1回戦から戦況を注意深く見守っていましたが、単に勝敗にとらわれることなく、ロボットの基本性能や独創性、アイデアをカタチにする技術力など、各校のロボットを独自の視点でチェックしているようでした。
学校名:旭川工業高等専門学校(北海道地区)
ロボット名:「ばすたーちゃん2」
学校名:一関工業高等専門学校(東北地区)
ロボット名:「しの☆もん」
学校名:長野工業高等専門学校(関東甲信越地区)
ロボット名:「ALPS」
学校名:長岡工業高等専門学校Aチーム(関東甲信越地区)
ロボット名:「新鮮組」
学校名:石川工業高等専門学校(東海北陸地区)
ロボット名:「疾風蟹」
学校名:奈良工業高等専門学校(近畿地区)
ロボット名:「万里一空」
学校名:香川工業高等専門学校詫間(四国地区)
ロボット名:「Impact」
学校名:北九州工業高等専門学校(九州沖縄地区)
ロボット名:「ReVictor」
全国大会は30回大会にふさわしい熱戦の連続!
アイデア溢れるユニークなロボットたちの応酬に会場から何度も歓声が上がりました。
そんな近年稀に見る実力が均衡したトーナメントを勝ち抜いたのは、石川高専と北九州高専。
初の全国制覇をねらう石川高専のロボットは「疾風蟹(ハヤテガニ)」。地域色を打ち出したかわいいデザインとは裏腹に、無慈悲に風船を一掃する必殺X攻撃で決勝まで駒を進めました。
一方の北九州高専は、しなる鞭が特徴の「Revictor(リヴィクター)」。素早さ、あたりの強さ、そして確実に風船を割る攻撃力。三拍子そろった抜群の安定感を誇るロボットを提げ、10年ぶりの優勝をねらいます。
試合開始の合図とともに、持ち前のスピードを活かして先に敵陣に入りこんだ北九州高専「Revictor」が素早く風船を割っていきます。少し遅れて石川高専の「疾風蟹」も敵陣へ。1体は中央で組み合い、1体は敵陣へと入り込むという展開。
北九州高専「Revictor」のしなる鞭が、確実に敵陣の風船を割っていき、20秒足らずで残りの風船は1つ!しかし、勝利まであと一歩のところで防御に入ったロボットに割り込まれます。
石川高専の「疾風蟹」のX攻撃も炸裂し、一気に7個の風船を撃破!こちらも防御に回られ、それぞれの本陣で組み合うロボットは膠着状態に。
馬力勝負の押し合いから抜け出したのは北九州高専「Revictor」。うまく相手ロボットを回り込み、最後の風船を割って勝利!
50秒の激戦をものにし、見事全国制覇を成し遂げました!
第30回の記念大会で見事、全国124チームの頂点に立ったのは、九州沖縄地区代表の北九州高専でした。
北九州高専は、実は第20回の記念大会も優勝しており、10年ぶりの戴冠となりました。
北九州高専の勝因は、何と言っても圧倒的な安定感!非の打ち所のない、まさに勝つために考え抜かれたロボットでした。
全国大会の5試合を通して、一度の故障もなく戦い抜いたということにも確かな設計が現れています。
高専ロボコンでは、各協賛企業が選ぶ特別賞を設けています。特別協賛しているHondaからも、アイデアや工夫が光るチームに「Honda賞」を贈呈。
今回、「Honda賞」に輝いたのは、大分高専の「マリンビート」!
惜しくも2回戦で優勝校である北九州高専に敗れてしまったものの、風船を割るという機能のみならず、走る、曲がる、停まる、ぶつかるといった動くロボットとして、いかに機能をパッケージングできているかという観点で選出させていただきました。別格のスピードと、倒れても起き上がる「だるまさん機構」は印象に残った方も多いはずです。
そして、なんと「Honda賞」を受賞した大分高専「マリンビート」は「ロボコン大賞」もダブル受賞!
興奮さめやらぬ大分高専のみなさんに、喜びの声を聞いてきました。
見事、「ロボコン大賞」「Honda賞」をダブルで受賞しました、大分工業高等専門学校から、「マリンビート」に搭載された小型カメラの映像を見せていただくことができました。全国大会前の練習時のものと、全国大会1回戦の迫力ある映像を、お楽しみください!
本田技術研究所 上席研究員
脇谷 勉さん
今回は地区大会から高専ロボコンを観戦させていただきましたが、やはり全国大会はレベルが一段違いますね。デザインやネーミングで地方色を打ち出すなど、風船を割るという目的以外のところでもアイデアが光っていて、ひとつのエンターテイメントとして楽しませていただきました。
高専ロボコンは高専生たちの自由な着想を表現する場でありますし、チームで課題を克服する喜び、夢を形にするためのチャレンジがあるからこそHondaも特別協賛をさせていただいています。
出場された高専生さんが卒業後にHondaに入社してくれることも少なくないんですよ。やはりロボコンに参加されるみなさんは、頭でっかちではなく、実際にモノをつくるという基本がしっかりしていると感じます。
本田技術研究所 上席研究員
脇谷 勉さん
高専ロボコンも年々実機だけでなく戦略面含めてレベルが上ってきていると実感しますが、学生ならではの「ユニークさ」にもっと期待したいですね。
わたしはR&DセンターXという幅広いアイデアが求められる部署で、クルマだけでなく、歩行アシストなどロボット技術をどう使っていくかという研究開発していますので、いつか、
今後もHondaとしては特別協賛を続けていきたいと思っていますし、例えば競技に使うデバイスを提供するなど、企業としても大会に新しいことを提案していければいいなと思っています。
ロボコン大賞:大分工業高等専門学校 「マリンビート」
優勝: 北九州工業高等専門学校 「ReVictor」
準優勝: 石川工業高等専門学校 「疾風蟹」
今年も忘れられない名場面を数多く残し、
幕を閉じた2017年の高専ロボコン。
独創的な着想をいかにロボットに実装し、
パフォーマンスとして表現するか。
実際にカタチにするところまでがアイデアであるということを、
改めて考えさせられた大会でした。
これから日本を、世界をリードするロボットを夢中になって作り
未来を切り開く若きエンジニアたちを、
Hondaはこれからも全力で応援していきます。
大分高専4年 西川創太さん
大分高専5年 佐藤恵さん
大分高専 技術部教員 高橋健一さん
高専ロボコンに真剣に取り組んできたこれまでの経験は、来年の高専ロボコンにも、将来の仕事にもきっと役立つことでしょう。
大分高専のみなさま、 「ロボコン大賞」「Honda賞」のダブル受賞、おめでとうございました!