マイスタークラブ(※1)による技術指導、大会の運営協力など!
Hondaは学生フォーミュラを「モノづくりを通じて将来の優れた技術者を育てるためのプログラム」と考え、積極的に支援している。
※1 Honda OB で結成された技術者集団
写真提供=公益社団法人 自動車技術会
9月9日(月)から14日(土)の6日間にわたり「学生フォーミュラ日本大会2024」が開催された。今年から、愛知県の国際展示場(Aichi Sky Expo)に会場を変更。審査の一部を涼しい屋内で受けられるようになるなど大会の環境はより快適に。全75チームが自分たちでつくり上げたクルマの総合力を競い合った。会場には、6日間で延べ19,956名もの人たちが来場。学生たちへのエールが会場の熱気をさらに高めていた。
Hondaは学生フォーミュラを「モノづくりを通じて将来の優れた技術者を育てるためのプログラム」と考え、積極的に支援している。
※1 Honda OB で結成された技術者集団
大会は静的審査と、車検を合格して進める動的審査の2つの審査で構成され、それらの総合成績で順位が決定する。
静的審査⇒コスト・デザイン(設計)・プレゼンテーションの3種目
動的審査⇒アクセラレーション(※2)・スキッドパッド(※3)
・オートクロス(※4)・エンデュランス(※5)
・効率(※6)の5種目
※2 加速性能を評価
※3 コーナリング性能を評価
※4 操縦性を測りつつベストタイムを競う
※5 車両の全体性能と信頼性を評価
※6 エンデュランス後の燃料・電力消費量を評価
6日間にわたって競い合い、総合優勝を果たしたのは京都工芸繊維大学。2位以下に99.46ポイントという大差をつけ、3連覇を達成した。2位は名古屋大学EV。静的審査の得点が最も高いチームに贈られる常滑市長賞も受賞した。
本大会では海外チームの活躍も目立った。中国、タイ、マレーシア、インドネシア、台湾などのチームが参加。昨年に比べ表彰されたチームも増え、日本チームにとっても大きな刺激となった。
総合2位の名古屋大学EV
中国のJilin Universityの車両。種目別表彰ではデザイン審査とスキットパッド審査で1位を、特別表彰ではベストエアロ賞を受賞した
目標を達成し抱き合って喜ぶチームがある一方、満足いく結果を出せず悔し涙を流すチームもあった本大会。失敗することがあってもいい。そこから何をどう学ぶか、そのプロセスがとても大切だ。学生たちに味わってほしいのは、困難を乗り越えた先の達成感。その喜びは企業の開発現場でも同じである。学生たちには経験を通じて成長し、ぜひ大会で完走してモノづくりの素晴らしさを分かち合ってほしい。
北海道大学
プロジェクトリーダー
原田 空翔さん
試走会で見つかった課題は、大会までに走行合宿やテスト走行を行いすべて解決できました。とはいえ、大会を迎えると、新規搭載機構であるエアシフターの動作不良が起きないか、フロントウィングが路面干渉して翼端板が外れたりしないか、車検を通過できるかなど不安が常にありました。
車検は1日で通過することができましたが、レギュレーションの読み込みが甘く、一発通過できなかったことは非常に反省すべき点です。
一方、動的審査の結果は率直にうれしく、新コース(※7)で全種目完走できたことが一番うれしかったです。チームメンバーも動的審査が始まりマシンが元気よく走っているのを見てひと安心。全種目完走した際は、一年の頑張りが報われたようでみんなの表情は晴れやかでした。ただ、上位校と比べるとエンデュランスでのラップタイムやスキッドパッドでかなり差があると感じ、静的審査でもプレゼン、コストをもう少し詰めることができていれば目標である総合15位を達成できたので悔しさもあります。
※7 「学生フォーミュラ」は今年から愛知県国際展示場(Aichi Sky Expo)に変更された。
群馬大学
チームリーダー
佐藤 凜歩さん
「とにかく走る」を今年度のチーム全員の目標とし、まずはシェイクダウン(※7)を行うと意思統一をしてから製作作業を進めました。これにより5年ぶりのシェイクダウン証明の提出にこぎつけることができたと思います。しかしながら、製作作業に思ったより遅れが生じてしまい、万全な状態でないまま大会を迎え、不安や緊張でいっぱいでした。そんな中、チームメンバーは切羽詰まって作業しながらも、楽しく大会期間を過ごしていたように思います。
車検を通過できず、大会での出走は叶いませんでしたが、プレゼンテーション審査は7位と好成績を獲得できました。プレゼンテーション審査に対しての準備は余念なくできたので、このような順位をいただきとてもうれしかったです。
チームリーダーとしては、もっと「大会で」走ることに貪欲なチームに育てるべきだったのにも関わらず、シェイクダウン証明の提出で満足してしまうチームの雰囲気になってしまい、かなり悔しい思いをしました。
※7 車両の最初の走行機会のこと。学生フォーミュラでは、車両が走行する様子を収録した動画を期日までに提出する必要があり、その動画が車両の完成を証明する「シェイクダウン証明」となる