Hondaは本日、熊本県と共同で実施する電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車、電動二輪車、電動カートなど、次世代パーソナルモビリティーを用いた実証実験計画を公表し、実証実験で使用する車両やソーラー充電ステーションなどを公開しました。

実証実験車両とソーラー充電ステーション
今回の実証実験は、実際の都市交通環境下において、二輪車・四輪車・汎用製品の電動化技術や情報通信技術、太陽光発電によるエネルギー供給などを用いた総合的なアプローチにより、将来のパーソナルモビリティーのあり方やCO2削減効果の検証を行います。
実証実験の主な内容
- ■2010年8月に熊本県とHondaで締結した「次世代パーソナルモビリティーの実証実験に関する包括協定」(協定期間:2010年8月〜2013年3月)に基づき、10月より「熊本市」と共同で電動カートによる実証実験を開始しています。さらに今後、「水俣市」「阿蘇エリア」「天草エリア」においても、将来の低炭素モビリティー社会実現に向けた効果検証を行います。
- ○EVやプラグインハイブリッド車の実験車両、電動二輪車「EV-neo」、電動カート「モンパル ML200」などの電動車両を用いた次世代パーソナルモビリティーの実用性、利便性の検証
- ○将来の低炭素化社会の実現に向けた、太陽光発電など再生可能エネルギーの活用の効果検証
- ○地域社会における県民の生活の質(QOL※)向上に貢献できる将来のパーソナルモビリティーのあり方の検討
なお、この実証実験は、2010年12月15日に米国(カリフォルニア州・トーランス市)、2010年12月20日に埼玉県と実証実験を開始し、今後、中国での展開も検討しています。
- ※QOL(Quality of Life クオリティー オブ ライフ):人がどれだけ人間らしい生活を送り、物理的のみならず、精神的な豊かさや幸福を感じているかを尺度としてとらえる考え方
熊本県との実証実験の内容
熊本県、関係市町村、熊本県工業連合会、熊本大学、九州電力、Hondaが共同で新たに設立した「次世代パーソナルモビリティ推進委員会」の中で、地域社会における県民のQOL向上に貢献できる次世代パーソナルモビリティーのあり方の検証や、各電動車両が普及するための地域や用途の検証を行っています。
「熊本市」
- ○高齢者施設でのモンパル ML200の共同利用などによるQOL定量評価検証。
・中心市街地に近接する高齢者集合住宅の入居者を対象とした共同利用。
・熊本市郊外の健康福祉センターに通う高齢者を対象としたパーソナルユース。
・高齢者総合施設のケアハウス入居者や通所サービスに通う高齢者などを対象とした短期レンタル。 - ○市民や観光客へのレンタルなどによるEV-neoを用いた移動利便性の検証や、高校生の通学利用による若年層への電動化モビリティーの浸透。
- ○県施設への充電ステーション設置に向け、EV利用における施設ロケーションの最適化の検証。
「水俣市」
- ○市民や観光客へのレンタルなどによるEV-neoを用いた移動利便性の検証や、県施設への充電ステーション設置に向けた最適なロケーションの検証。
「阿蘇エリア」
- ○観光客へのレンタルによるプラグインハイブリッド車やEV-neoを用いた移動機会の創出と移動利便性の検証。
「天草エリア」
- ○島内利用による地域の足として、EVを用いた移動利便性の検証。
実証実験車両
実証実験では、走行中にCO2を一切排出しないEVや電動二輪車、電動カートに加え、エンジンと2つの高出力モーターを組み合わせたプラグインハイブリッド車を使用。
- ○電気自動車(EV)
取り回しのよいコンパクトなボディと、使い勝手のよさで高い評価を得ているフィットをベースに、燃料電池電気自動車「FCXクラリティ」で培った同軸モーターなどの電動化技術と、東芝製のリチウムイオンバッテリーを搭載しています。充電時間は200V電源で6時間以下、航続走行距離は160km以上です。 - ○プラグインハイブリッド車
中型セダンのインスパイアをベースに、専用開発した高効率・低燃費な2.0L i-VTECエンジンと2つの高出力モーターを組み合わせ、「モーター走行」「ハイブリッド走行」「エンジン走行」の3つのモードでの走行が可能です。また、ブルーエナジー製のリチウムイオンバッテリーを搭載し、EV走行で15kmから25kmの航続走行距離を実現しました。 - ○電動二輪車(EV-neo)
本日より配達業務などを行う企業や個人事業主向けにリース販売を開始した、スクータータイプの電動二輪車「EV-neo」を使用します。 - ○電動カート(モンパル ML200)
2006年に発売の快適な乗り心地と高い操縦安定性、安心して気軽に乗れるスタイリッシュな電動カート「モンパル ML200」に、操作・走行データ記録機器を装着したモデルを使用します。
実証実験車両 主要諸元(四輪)
電気自動車 | プラグインハイブリッド車 | |
エンジン | - | 直列4気筒 2.0L アトキンソンサイクル i-VTECエンジン |
トランスミッション | - | ECVT |
モーター | ギアボックス同軸モーター (FCXクラリティと同型) |
2モーターシステム (駆動および回生、発電) |
モーター最高出力 | 92kW | 120kW |
バッテリー型式・ メーカー |
リチウムイオン電池・ 東芝製 |
6kWh リチウムイオン電池・ ブルーエナジー製 |
EV航続走行距離 | 160km以上 | 25km(JC08モード) |
EV最高速度 | 時速 144km | 時速 100km |
充電時間 | 100V=12時間以下 200V=6時間以下 急速充電=30分(80%) |
100V=4時間以下 200V=1.5時間以下 |
実証実験車両 主要諸元(EV-neo、モンパル ML200)
EV-neo | モンパル ML200 | |
モーター | DCブラシレスモーター | DCブラシレスモーター |
モーター最高出力 | 2.8kW | - |
バッテリー型式・ メーカー |
リチウムイオン電池・ 東芝製 |
制御弁式鉛電池・ パナソニック製 |
EV航続走行距離 | 34km(30km/h定地走行テスト値) | 約25km(6km/h平坦路) |
充電時間 | 100V普通充電器=約3.5時間 200V急速充電器=約30分 |
100V=約9時間 |
ソーラー充電ステーション
Honda熊本製作所にソーラー充電ステーションを新たに設置。ホンダソルテック製の太陽電池モジュールを活用した充電ステーションと、情報通信技術との連携により、様々な検証を行います。

ソーラー充電ステーション 構成概略図
情報通信技術
お客様の利便性と安心感を高めるために重要な情報通信技術の進化をはかるため、四輪車向けに展開している情報ネットワークサービス「インターナビ・プレミアムクラブ」の機能を活用し、実証実験車向けの充電サポートサービスなどを検証していきます。充電ステーションの検索や目的地設定、車両の状態などを従来のカーナビ画面に加え、スマートフォンでも確認できます。
充電サポートサービス
実証実験車両は、車両から離れたところからでも、スマートフォンを使ってバッテリーの残容量、航続可能距離による航続可能エリアの確認、エリア内の充電スタンドの検索などが可能です。検索結果から選定した充電スタンド情報をインターナビ情報センター経由で車両に転送し、カーナビの目的地として設定することで、充電スタンドまでの誘導が可能です。
[スマートフォン画面の例]

バッテリー残容量確認

航続可能エリア1

航続可能エリア2