Topics
ホンダモビリティソリューションズは、日本における自動運転サービス事業の展開に向けて、2020年2月に設立。「移動を変え、日常を変え、未来を変える」というミッションのもとで「これまでにない移動空間とサービス」の提供を目指しています。
今回は、第1ソリューション部の事業企画推進ユニットのユニットリーダーである隅本さん、アライアンス推進ユニットのユニットリーダーである田口さんにインタビュー。現在の業務内容に加えて、ビッグスケールな事業企画やアライアンスに携わる魅力や課題、将来の展望などについてお伺いしました。
「自動運転サービスを実現したい」強い思いを持ってジョイン
最初に、お二人のこれまでのご経歴について簡単に教えてください。
田口
私は前職が大手自動車会社で、財務経理と経営企画を担当していました。その会社は海外との協業に長けており、私は他社とのアライアンス事業を経験。自動運転開発企業の担当者として、アメリカにも滞在し、彼らとのグローバルビジネスをどう構築していくのか、上流工程の検討に関わっていました。
当時からアメリカでは自動運転の研究開発が進んでおり商業化に近付いていた一方、日本は高齢ドライバーの事故が多発していたり、交通弱者が生まれたりといった社会課題があります。日本でも自動運転というビジネスを構築したいという強い思いを持って、ホンダモビリティソリューションズにジョインしました。
隅本
私はホンダモビリティソリューションズが4社目で、これまでは全てIT関係のキャリアでした。1社目は上場前後のスタートアップ、2社目はITメガベンチャー、3社目はアーリーフェーズのスタートアップです。
もともとはWebサービスに携わることが多かったのですが、メガベンチャーに転職した2015年頃に自動運転のプロジェクトに参画。最適な技術が未知数な中で新しいビジネスモデルを作り上げる面白さや「顧客に必ず喜んでもらえる」というやりがいを感じました。
ただ、自動運転サービスの開発には今後10年以上の時間がかかる点や安全・安心なハードウェアを含むプロダクトをIT企業がつくりあげることの困難さを感じていたのも事実です。そんなとき、たまたまHondaがCruiseに出資していることを知りました。自動運転でトップクラスの企業が持つ最先端技術を用いたサービスを日本に展開できるチャンスに魅力を感じ、ホンダモビリティソリューションズへの入社を決めました。
複数ユニットが一体となって事業の初期フェーズにコミット
お二人の現在の業務内容は、どのようなものですか?
田口
私はアライアンス推進ユニットに所属しており、パートナー企業であるGMとCruiseとのビジネススキームの構築に向けて活動する役割を担っています。 日々の課題解決はもちろん、どのように3社が協力して日本事業を立ち上げていくのかを日々検討・交渉。実現に向けて合意形成を図っています。
隅本
私は事業企画推進ユニットで、事業開発全般を担当しています。主に、サービス内容やターゲティング、プライシングなどの事業計画・戦略の策定を行うほか、実際に開発した自動運転車両に乗っていただいたユーザーへのアンケートやインタビューなども実施しています。
また、協働させていただいているタクシー事業者の方々と一緒に、法規に基づいた自動運転サービスのオペレーション設計や自動運転車両の専用拠点の整備なども進めています。
2つのユニットは、どのように関わりながらプロジェクトを推進しているのでしょうか?
田口
企画の初期段階なので、ユニットは分かれているものの、我々の2つのユニットと、技術開発推進ユニット※の3つのユニットが一体となって動いています。まず、アライアンス推進ユニットがGM、Cruiseと交渉。その上で、事業企画推進ユニットがプロジェクトのタイムラインの中で発生する事業課題を、日本に適合させていく役割を担っています。
隅本
そういう意味では、アライアンス推進ユニットは橋渡し役としての意味合いが大きいですね。また、アライアンス推進ユニットは親会社であるHondaに対してプロジェクト推進にあたって必要な提案なども行います。
※技術開発推進ユニットは、米国で開発されている技術を日本国内に適合させることを目的に、宇都宮の公道にて実証実験を行っている。
サンフランシスコで感じた事業のダイナミックさ
お二人がプロジェクトを進める中で感じる事業の「ダイナミックさ」について教えてください。
隅本
サンフランシスコに出張したときに特にダイナミックさを感じました。
たまたま日中にCruiseの自動運転車両に乗れる機会があり、交通量も歩行者も多い環境で私は後部座席に乗車しました。
運転席にも助手席にも誰もいない状態で見事に車が道路を走るのを目の当たりにして、「本当にすごい事業だ」と実感しました。
田口
私も「クルーズ・オリジン」のテスト車に乗った時には感動しました。
これは、先ほど隅本さんが乗ったという従来のハンドル付きの自動運転車両とは全く異なるもので、その移動体験も全く違っており、「部屋が動いている」感じなんですよね。車とは違う快適さやワクワクを感じましたし、そういう移動体験から生まれる「新しい時間の使い方」を、ぜひ日本の方にも体験してもらいたいと強く思いました。
また、費やされている予算も桁違いのプロジェクトだからこそ、一つひとつの意思決定が与えるインパクトの大きさを感じます。
ただ、私たち「ホンダモビリティソリューションズ」という別働部隊自体は、非常にフレキシブルに動けます。
例えば、様々な法規制について国とやりとりをする際に「Honda」の看板を背負っていることで聞いていただける話もあったりします。
Hondaのアセットがあるからこそフットワーク軽く物事が進みますし、事業上のアドバンテージもありますね。
そのほか、ホンダモビリティソリューションズがフレキシブルにプロジェクトに取り組めている理由はどこにあるのでしょうか?
隅本
メンバーに裁量を委ねる文化が育まれている点が大きいと思います。手を挙げた人に任せるし、それをチームでサポートするカルチャーがあると感じますね。
田口
親会社であるHondaの「挑戦する」という元々のカルチャーでもありますよね。
隅本
また「適材適所」の観念も強いのかなと。Hondaはモノづくりをして販売するビジネスには精通していますが、形のないサービスを作り込む経験は少ない。だからこそ、コトづくりのサービスを作るための人材が集まっているホンダモビリティソリューションズの取り組みを尊重してくれています。
新しい交通インフラを作り上げ、自動運転サービスを日本全国に届ける
大規模なプロジェクトだからこそ、課題や難しいポイントも多いと思います。
田口
弊社はタクシー事業者様と共同で事業の在り方について検討を重ねていますが、事業構造はどちらかというと鉄道などの交通インフラに近い点が難しいですね。例えば電力の調達一つ取っても、日本全体の産業を変えていくレベルの難易度の高さを感じます。
隅本
数百台、数千台の車両を走らせるためには、田口さんの言う通り様々な業種・業界に対して働きかけ、インフラを整備しなければなりません。本当に難しいですが、一方でやりがいも感じます。
あとは日本の法律や慣習に合わせて、事業をローカライズする難しさもありますね。ただ単に米国で提供しているアプリを日本語化すれば良い、という話ではありませんから。
田口
新しい産業そのものを作っているイメージが強いですよね。様々な法規制にも関わるため国とのやりとりも多くスケールの大きさも感じます。逆に言えば、自動運転は先人たちが規制などの壁を前にして、挫折してきた歴史もある事業です。だからこそ「大企業の新規事業」というよりは、国を、そして世界を動かしていく気概で取り組んでいます。
実際に自動運転のプロジェクトは、どんな世界観をゴールにしているのでしょうか?
隅本
短期的には、2020年代半ばに東京中でクルーズ・オリジンが走っている世界を目指しています。その中で、友人、知人、家族から交通の選択肢として自動運転サービスが挙がるようになると嬉しいです。
中長期的には、東京に限らず日本全国の困っている方々に対して、サービスを届けたいなと。そのためには、どなたでもサービスを使いやすいような価格帯も実現する必要があります。
田口
現状は栃木県の拠点で、積極的に実証実験を行っている段階です。ここから2020年代半ばにまずは東京、さらにその後は東京以外の都市部での商業化を目指していきます。そして最終的に、サービスを全国的に展開していくつもりです。
プロフェッショナルとともに、自由に柔軟に働ける
ホンダモビリティソリューションズで働く魅力についても教えてください。
田口
ホンダモビリティソリューションズは、Hondaグループの中でも一線を画す存在です。Honda本体の方々からも、「モビリティサービスを運営する会社」としてのリスペクトを感じながら日々仕事ができますよ。
必要があれば、本体はもちろん研究所などに対して好きなタイミングでヒアリングや情報収集を行える環境も整っています。Hondaの遊撃部隊としてグループ内での関わりを柔軟に持てるのも、魅力の一つです。
隅本
私は「仕事のやりがい」と「働く環境」という2軸が高度にバランスを取れている点が、ホンダモビリティソリューションズの何よりの魅力だと考えています。
やりがいは、やはり事業自体がもたらす社会的影響が大きい点にあります。莫大な予算と人材を集めてやっと成し遂げられる事業を、0→1のフェーズから携わって作り上げられる機会はめったにありません。
田口
なかなかできない経験ですよね。
隅本
働く環境については、非常に自由というか「合理的」だと思います。当社はスーパーフレックス制度を採用していて、リモートワークも可能。もちろん、必要に応じて出社することもありますが、基本的には社員のライフスタイルに合わせつつ、いつでもどこでもお互いにコミュニケーションを取れるようなフレキシブルさがあります。さらに、一緒に働く仲間はIT系からメーカー、コンサル、インフラまで、多種多様なバックグラウンドを持ったプロフェッショナルの方々ばかりです。
刺激的な環境の中で、やるべきことをしっかり任せてもらえる。ここまで事業的、文化的にバランスの取れた企業は珍しいと思います。
自動運転の未来に共感し、実現に向けた思いを共有できる人と働きたい
最後に、読者の方へのメッセージをお願いします!
田口
隅本さんがおっしゃったように、当社には多彩な分野のプロフェッショナルが所属しています。その中で何より重要なのは、コミュニケーション力です。自動運転サービスの実現に興味があり、自身の強みとなるようなバックグラウンドがある――ここに加えて、しっかりと周囲を巻き込み主体的に取り組んでいきたいと考えている方には様々なチャレンジに挑戦できる環境があると思っています。
隅本
私は、自動運転という事業に魅力を感じているかどうかも大事だと思っています。自動運転サービスによってどのような社会を実現したいのか、想いを持っていただける方に来ていただきたいですね。
もちろん事業を推進する上では、ネガティブな部分もゼロではありません。海外の企業と連携しているという事情がある分、技術面でも法律や社内外の調整等、様々な局面で予定通りにはいかない場面は必ず出てきます。それでも、ホンダモビリティソリューションズは間違いなく自動運転の分野で日本の最先端を走っていますし、今は本当に面白いフェーズです。ここを踏まえて、自動運転の未来に共感し想いを共有できる方と一緒に働きたいと思っています。