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2024/02/22

HMSモビリティジャーナル Vol. 1「創刊号」
―日本の未来をモビリティの目線から。独自ニュースレター創刊―

 ホンダモビリティソリューションズ株式会社(東京都:代表取締役社長 高見 聡、以降HMS)は、「移動を変え、日常を変え、未来を変える。」をミッションとして、自動運転ビジネスの開発から、カーシェア事業の運営、サブスクリプションサービス、電動アシスト自転車やバッテリーを活用したサービスの企画運営まで、様々なモビリティサービス事業を展開しております。

 このたび、HMSは、モビリティサービスにまつわるニュースレターとして「HMS モビリティジャーナル」を配信開始いたします。
HMSが現在、そして今後展開していくサービスを通じて、未来における人々の生活がどのように発展し、日常化していくのかを発信することで、「モビリティサービスを通じて実現したい日本の未来像」を皆さまにお届けできればと考えております。

 きたる2月18日は、HMS 4年目の設立記念日となります。本号は創刊号として、昨今のモビリティサービスの状況と、HMSが目指す未来についてお伝えしてまいります。

1.	今なぜモビリティサービスが注目されているのか

自動車の価値変化

 昨今、自動車が提供する顧客価値が急速に変化しています。これまでの自動車は「所有する」ことにより価値を生み出してきましたが、さまざまな技術進化や社会情勢の変化によって、場所や時間に捉われず、必要な時に必要なだけ使うという「利用する」ことによる価値が求められるようになりました。
 この進化が加速している要因として、自動車業界の大きなトレンドである「CASE※1」の進展が挙げられます。IoTやConnected技術による交通網のリアルタイム連携や運転支援システムの進化、また都市部での駐車場不足や渋滞などの社会問題への対応、そしてEV普及に伴う電力需給問題、環境問題への配慮など、さまざまな要因によって、自動車業界そして自動車の価値は大きく変化しています。

自動運転技術により広がる未来

 自動運転技術が社会実装されることにより、運転免許証を持てない、ないしは運転が難しい状況にあるユーザーでも、移動の自由を享受できるようになる可能性が、現実味を帯びてきています。
 他にも、時間や空間から解放されることによって、ユーザーはより有意義な体験を得ることが可能となります。インテルと米調査会社のStrategy Analyticsが発表した報告書によると、自動運転車の普及による“運転手の空き時間”がもたらす経済効果は、2035年には約8千億ドル、2050年には約7兆ドルに達すると予測されています※2。これまでの自動車では得られなかった、新しい体験やサービスの台頭も注目されます。

シェアリングサービスが生み出す顧客価値と環境価値

 自動運転は少し先のモビリティサービスではありますが、カーシェア、シェアサイクルは都市圏を中心に拡大を続けており、日常生活の足として利用するユーザーにとって、なくてはならない存在となってきています。カーシェアポートは年々増えており、2023年には全国で約22,000箇所まで拡大しています※3。また、シェアサイクルにおいてもさまざまなサービスが台頭し、最近では都心における電動キックボードの急速な普及が話題となりました。
 富士経済が発表した「モビリティ・インフラ&サービス関連市場の将来展望」によると、カーシェアやレンタカーを含むモビリティサービスの国内市場は、2030年に約1兆4858億円に達すると予測されています※4。これは2020年度比で59.8%増となっており、モビリティサービスの急激な発展を物語っています。
 シェアリングサービスは、高い交通利便性をユーザーに提供するとともに、環境問題の解決の糸口とも捉えられています。1台を複数人でシェアすることによる車両台数の最適化や、EVを長期利用することでの環境負荷が軽減されることにより、カーボンニュートラルやリソースサーキュレーションの実現への貢献も期待されています。

今なぜモビリティサービスが注目されているのか

モビリティサービスにまつわる専門用語

  • ・【シェアリングサービス】
    カーシェア・シェアサイクルなどの“モビリティシェア”と、相乗りする“ライドシェア”に分類される。いずれも、保有せず必要な時に利用することができるため、経済性や利便性を高める新たな移動手段として普及している。
    カーシェアサービスでは「タイムズカー」「カレコ」「オリックスカーシェア」、ライドシェアでは「NearMe」「MOBI」「Via」「のるーと」などが展開。
  • ・【モビリティプラットフォーム】
    ユーザーにシームレスな移動体験を提供する、マッチング技術を活用したサービス。飲食店・小売店とユーザーを紐付ける「Uber Eats」や、タクシー配車アプリの「GO」などが挙げられる。今後はライドシェア解禁で新たな移動サービスの出現が期待されている。
  • ・【モビリティサービス/MaaS】
    “モビリティサービス”は、シェアリングサービスやサブスクリプションサービス、またはモビリティプラットフォームサービスなどの総称。また“MaaS”は、Mobility as a Serviceの略称で、1つのアプリケーションで複数の移動サービス(電鉄、バス、タクシー、カーシェア、シェアサイクル等)をワンストップで活用できる仕組みを指す。日本国内においては、“モビリティサービス”と“MaaS”が同じ意味で使われることもある。
  • ・【マイクロモビリティ】
    小型モビリティのことで、主に電動アシスト自転車、電動キックボード/スクーター、EVバイク、超小型自動車などを指しており、新しい近距離~中距離の移動手段として注目されている。

国や各地域が推進する「モビリティサービスの未来」

 日本の自動運転技術とモビリティサービスの発展は、政府主導の積極的な政策と技術革新により、日々加速をしています。官民協力のもと、2014年に作成された「ITS構想・ロードマップ※1」は、日本でのモビリティサービス発展の基礎として、毎年更新がなされています。
 また、今日までに、AI技術の進化や地球温暖化対策、新型コロナウイルスの影響などが移動手段への考え方に影響を与え、自動運転技術・モビリティサービスは新たなステージに入っています。限定エリアにおける無人自動運転サービスの導入や、MaaS等のモビリティサービスが実証段階を経て、普及に向けて進展しています。
 具体的な技術進展に関しては、例えば物流業界では2021年に高速道路におけるトラックの後続車無人隊列走行が実現し、実用化に向けた技術開発が進んでいます。2023年4月には道路交通法が改正され、自動運転レベル4※2が解禁されています。2025年度以降には、高速道路におけるレベル4の自動運転トラックが導入される予定です。
 また、各地域でもモビリティ推進が加速しています。一般社団法人九州経済連合会が発表した「九州MaaS」構想では、九州全域にわたるMaaSサービスの実現を目指して、2024年のサービス開始に向けた準備が進められています。このプロジェクトでは、西鉄やJR九州など主要交通機関の協力の下、地域の活性化と観光の競争力強化を促進することを目標としています。

  • ※1 日本のITS(高度道路交通システム)・自動運転についての全体戦略文書
  • ※2 ITS構想・ロードマップにて規定された、自動運転車の定義。レベル4の定義は「特定条件下における完全自動運転」

HMSのアプローチと実現したい未来

 ホンダモビリティソリューションズ株式会社は、「総合モビリティサービスカンパニー」を目指すことをミッションとし、2020年の設立以降、幅広いモビリティサービス事業を展開しています。
 現在は、自動運転タクシーサービスの事業開発、総合モビリティサービスEveryGoの運営、および、EVソリューションサービスの事業開発を行っており、進化を続けています。

1.自動運転タクシーサービスの事業開発

 クルーズ社、GM社、Hondaグループで共同開発した自動運転専用車両「クルーズ・オリジン」による、配車から目的地への移動までを完全自動運転で行うタクシーサービスです。レベル4の自動運転技術により、時間や空間に縛られない移動体験を提供するとともに、渋滞などの社会問題や環境問題の解決を目指しています。サービスは、2026年初頭に東京都心部で開始予定です。

自動運転タクシーサービスの事業開発

2.総合モビリティサービスEveryGo運営

「EveryGo」へのサービス名称統一

 誰にとっても快適なモビリティサービスの提供を目指すHMSは、このたび、現在提供しているサービスの名称を「EveryGo」に統一しました。
すべての人にとって、快適で価値あるモビリティ体験を「EveryGo」ブランドを通じて提供することを目指し、今後はお客様のタッチポイントの整備やシステム基盤、オペレーションの共通化を図りつつ、様々な移動体験をワンストップで提供するサービスへの進化を目指してまいります。

EveryGo

カーシェアリング「Honda EveryGo」

 本田技研工業が2017年より運営していたカーシェア事業を引継ぎ、2021年よりHMSとして事業を進めています。主に東京、神奈川、愛知、大阪、福岡などの大都市圏を中心にサービスを提供しています。現在のユーザー数は約9万人となっており、2024年度には10万人を超える見込みとなっています。

EveryGo

デリバリードライバー向けサブスクリプションサービス 「EveryGo デリバリー」

 Uber Eatsや出前館などのデリバリーサービスで働くドライバー向けに、モビリティサービスをサブスクリプション形式(自動更新型、月単位の賃貸借契約)で提供しています。昨今、ECの拡大に伴い、軽配送ドライバーの需要が高まっているため、軽バン車両のラインナップ追加も視野に入れています。

EveryGo

e-Bike(ハイエンド電動スポーツ自転車)サブスクリプションサービス「EveryGo e-Bike」

 スポーツタイプのハイエンドe-Bikeを対象に、購入ではなくまずは気軽に利用してみたいというお客様に対して、サブスクリプションサービスを提供しています。2024年初頭にローンチしたサービスであり、スポーツ自転車を趣味としている本格的趣味層の方からビギナーの方まで、幅広いユーザーの皆様にご好評をいただいております。

EveryGo

3.EVソリューションサービスの事業開発

 法人のお客様に対して、EVバイクとバッテリーのリース・レンタルを行っています。法人のお客様がEVシフト(ガソリンからEVに切替え)をされる際のスイッチングコストの低減や、そのための補助金の活用、残価設定、バッテリーマネジメントによるオペレーションの効率化など、トータルソリューションの提供を行っています。また、自治体や法人のお客様が保有する社有車の効率運用(フリートマネジメント)、エネルギーマネジメントの実現に向けた様々なソリューション開発も行っています。

HMSが考える「モビリティサービス」

 HMSは、モビリティとはハードウェアとしての「車両」ではなく、体験価値としての「移動」を指すと考えています。前段のように、時代の進化にともなって、さまざまな移動手段が生まれているように、モビリティとは日常生活の一部であり、すべての人にとって快適でサステナブルであるべきものだと捉えています。どなたにとっても利用しやすいモビリティサービスの提供が、私たちの重要な使命であると考えています。
 そのために、HMSが考えるモビリティサービスには、「顧客の日常をより良く変えられるか」「社会課題を解決できるか」「地球環境保全に貢献できるか」「長期的にサービス提供可能な経済性を担保しているか」という4つの目線/価値観を持ち、これらをすべてのサービスの根幹に置いて事業運営を行っております。

  • 「顧客の日常をより良く変えられるか(顧客価値)」
    顧客の日常に根付き、安心・安全はもちろん、利便性、経済性、デザイン性に優れたサービスを目指します
  • 「社会課題を解決できるか(社会価値)」
    金融サービスを利用できない層や、自動車免許証を持っていない層にもサービスを提供することで、“業界の負”の解決や、生活の可能性を拡げる効果の創出を目指します
  • 「地球環境保全に貢献できるか(環境価値)」
    単なるEVシフトだけではなく、シェアリングサービスを通じた社会全体における車両数の最適化や、車両・バッテリーの長期利用、リソースサーキュレーションによる、環境負荷の最小化と地球環境保全への貢献を目指します
  • 「長期的にサービス提供可能な経済性を担保しているか(経済価値/新事業価値)」
    顧客・社会・環境にとっての「当たり前=日常」となるべく、常に進化(アップデート)をし続けられるよう、ビジネスとしての経済合理性の追求と、安定したサービス提供基盤の確立を目指していきます
HMSが考える「モビリティサービス」

目指すのは、「HondaのDNAを継承する『HondaでありHondaでない』会社」

 HMSは、本田技研工業(以下Honda)のグループ会社としてHondaのアセットを活用しながら、メーカーとしてのHondaの枠を超えたモビリティサービス、モビリティソリューションを提供することを目指しています。
 HMSは、日本を代表する自動車メーカーのグループ会社として、四輪・二輪・パワープロダクツの販売や移動に関するノウハウを多く保有しています。その一方で、HMSはメーカーの枠を超え、モビリティサービス領域で新しい価値を生み出す企業としての位置付けを持っております。
 例として、HMSの組織は総合商社、金融、通信、IT、コンサルティングファーム、ベンチャーなど、幅広い業界のエキスパート人材で構成されています。さまざまな業界の知見を集約し新結合させることで、モビリティサービスにまつわる革新的な事業を生み出すことを目指しています。
 HMSは、かつてスタートアップであったHondaのDNAを継承しつつ、Hondaの枠を超えたモビリティサービス、モビリティソリューションを創出する、唯一無二の総合モビリティサービスカンパニーを目指してまいります。


<次号予告>
「物流×モビリティ」特集号。3月13日(水)配信予定。

各種報道が行われている2024年問題が取り沙汰される物流業界の現在とは。
そしてモビリティの発展やHMSの事業展開はどのような影響を与えていくのかを、最新の独自定量調査データとともに発信いたします。

■「HMS モビリティジャーナル」について

総合モビリティサービス企業であるHMSが、モビリティサービスのリーディングカンパニーとして、多種多様な業界×モビリティの切り口で、さまざまな情報発信や問題提起を行っていくニュースレターです。

■お問合せ先

HMS モビリティジャーナル事務局
プロジェクト担当
Email:hms_mobilityjournal@sion-group.com
URL:https://global.honda/jp/honda-mobility-solutions/

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