VIETNAMHonda Vietnam Co.,Ltd
3つの二輪工場を有するスーパーカブ・パラダイス
ベトナムは古くから「スーパーカブ・パラダイスの国」である。
Hondaがベトナムへスーパーカブを最初に輸出したのは1967年で、それは2万台であった。以後、ベトナムの人びとはスーパーカブ・シリーズを愛好し続けている。特に20世紀後半から21世紀にかけてスーパーカブ・シリーズはさらに増加し、大都会でも小さな町でも村でも、道という道にはスーパーカブ・シリーズが整然と走り、スーパーカブ・シリーズのある生活はベトナムの人びとの生活的デフォルトになっていった。
その時代、ベトナムを走る二輪車の90%近くがスーパーカブ・シリーズで、一家に一台のモビリティであったと伝わる。やがてベトナムの人びとは、すべての二輪車を「ホンダ」と呼ぶようになる。オートバイもスクーターもモペッドも、メーカーを問わず、すべて「ホンダ」になった。
ベトナムの人口は約9554万人(2017年)で、国土面積は日本より少し小さい33万1000㎢だ。二輪車の保有台数は4800万台を超えている。統計数字では二輪車保有率は「2人に1台」と伝えるが、総人口には子供やお年寄りも含まれているので実質的には「ほぼ1人に1台」と言えるだろう。
2017年から2018年にかけての統計では、ベトナムで年間約328万台の二輪車が販売された。そのうち約73%の238万台がホンダ車で、スーパーカブ・シリーズは90万2000台を占める。
そのスーパーカブ・シリーズをベトナムで製造販売するのがホンダ・ベトナムだ。1996年に設立したHondaとベトナム国営企業との合弁会社である。Hondaはベトナムの人びとの期待に応えるべく、1970年代から何度かホンダ・ベトナムの設立をこころみているが、政治的環境が整わず、ようやく1996年になって実現することができた。
ビン・フックにあるホンダ・ベトナム本社は本拠地らしく広大で、二輪車の第1工場、第2工場、四輪工場の3つの工場があり、テストコース、安全運転教育センターまで併設し、約8000人の従業員が働いている。
目下のところスーパーカブ・シリーズは第1工場で生産されている。第1工場は1998年に稼働したベトナム・ホンダ最初の工場で、2018年には4160名の従業員が働き、年間100万台の二輪車を生産できる。20年間稼働してきた工場で、安定したペースで整然とスーパーカブ・シリーズなどが生産される清潔な工場だ。
第1工場が生産開始した1998年当時は年間生産台数が40万台程度で、そのほとんどがスーパーカブ・シリーズであった。ところがベトナムの二輪モータリゼーションの発展はいちじるしく、ホンダ・ベトナムは2011年に二輪生産累計1000万台を記録し、2014年に1500万台を超え、2016年には2000万台に達し、2018年10月に2500万台に到達した。
2014年にはハノイ近郊の南にあるハ・ナム省に、最新鋭設備を持つ二輪第3工場が稼働し、ホンダ・ベトナムの二輪年間生産能力は年間250万台を超えた。
ホンダ・ベトナムは発足当初より安全運転の普及にも注力してきたが、2018年からベトナム全土の小学校新入生全員に二輪乗車用ヘルメットを寄付する活動を開始した。2018年のベトナム新学期9月には約200万個のヘルメットが小学校1年生全員に手渡された。
スクーター人気が高まっているが、スーパーカブ・シリーズは今も約半数を占める
ベトナム・ホンダが製造販売するスーパーカブ・シリーズは、充実したラインナップだ。もっとも廉価な17,790,000ドン(約87,000円)のWAVE α110、ミドルクラスのBLADE 110は21,300,000ドン(約104,000円)から4タイプある。メットイン機構が付きフューエルインジェクションを装備したWAVE RSX110が24,490,000ドン(約120,000円)、同じ装備を持つ最高グレードであるFUTURE 125が31,190,000ドン(約153,000円)である(為替レートは2018年11月現在)。
スクーター人気も高まり、現在ではスーパーカブ・シリーズの割合は50%を切っている。それでもホンダ・ベトナムのスーパーカブ・シリーズ生産累計は1200万台を超えてなお、年間70〜80万台程度のペースで伸び続けると見られている。その意味でベトナムの人びとのスーパーカブに対する愛好はまったくおとろえておらず「スーパーカブ・パラダイス」は健在だと言えよう。
WAVE α 110
BLADE
WAVE RSX
FUTURE
「WAVE αはとても丈夫です」
「10年前からWAVEαに乗っています。通勤のために買ったのですが、結婚して子供ができると、一家に一台の大切な乗り物になりました。10年間乗って、小さな故障はありましたが、WAVEαはとても丈夫です。年に一回の定期点検で、タイヤとブレーキを交換したぐらいで、今も調子よく走っています。子供が大きくなったら、いろんなところへ遊びに連れて行きたいので、次はシートの下に荷物入れのあ る大きいスクーターが欲しいと思っています。もちろんHondaのVISIONかLEADを買いますよ」
「入学祝いに両親がプレゼントしてくれました」
「ビジネス大学でマーケティングの勉強をしている1年生です。このWAVE WSXは大学の入学祝いに両親がプレゼントしてくれました。通学するのにバスは不便なので、学友はみんなオートバイに乗っています。このWAVE WSXは、とてもカッコいいし、乗って走るのが楽しいから、散歩がわりに走り回ったりしています。スピードを楽しむより、ゆったり走るのが好きです。洗車は町の洗車屋さんに2万ドン(約100円)で頼みます」
「カブに乗れるかぎり乗っていたいです」
「一番最初に所有したオートバイはホンダ・カブ81と呼ばれるタイプの90㏄でした。日本から輸入された中古カブで、1992年31歳のときに全財産をはたいて買ったと言っていいぐらい高い買い物でした。当時はハノイでも10人に2人ぐらいしかオートバイを所有していない時代ですが、一家に一台カブがあれば生活がとても豊かになりますので、どうしても欲しかった。それ以来、ずっとHondaを6台乗り継ぎ、いまは新車で買ったBLADEに乗っています。Hondaは丈夫で長い期間乗れるし、部品も手頃な値段で手に入ります。ゆっくり走るので事故は一度もしていないです。いくつになってもカブに乗れるかぎり乗っていたいですね。今日は娘のWAVEを借りて乗ってきました」
「いまのFUTUREは10台目のホンダです」
「高校生だった18歳のときに両親にドイツ製のスクランブラーを買ってもらってから、50年間ずっとオートバイに乗っています。1975年に最初のホンダ50を買いました。Hondaは物凄く人気があって、Hondaしか売っていないような時代でね。でも、Hondaに乗ってみて人気の理由がわかりました。Hondaはベリーグッドだった。いまのFUTUREは10台目のHondaです。昨年の2月に前のFUTUREを盗まれてしまって、子供たちがHondaのスクーターをプレゼントすると言ってくれたのです。しかし私はFUTUREが大好きで、自分に合っていると思うから、FUTUREにしてくれと頼んだのです」
「父の形見のスーパードリームは息子に譲ります」
「私のスーパードリームは1994年タイ製です。12年前に亡くなった父が乗っていたスーパードリームを形見としていただき、大切にして通勤に使っています。いま息子が17歳で、もうすぐ大学の入学試験なのです。その息子に、このスーパードリームを譲り渡したいと思っています。そのためには壊さないように安全運転をして、盗まれないように気をつけて、きちんと定期点検をうけて、故障したら信用できる正規ディーラーで修理をしています。Hondaにお願いしたいことは、息子の代までスーパードリームを乗り継いでいくために、ぜひ部品を供給してほしいことです」
「20年大きな故障がないのです」
「1998年に買った日本製のホンダ70(スーパーカブ70カスタム)に乗っています。その頃、私はベトナム製の1998年型のスーパードリームに乗っていたのですが、たまたま販売店へ行ったときに、このホンダ70が新車のまま売れ残っているのを知りまして、その場で買い換えたのです。ホンダ70は、スーパードリームより、ひとまわり小さくて、シートも低く、10kgほど軽いから、私には扱いが楽だった。子供の頃から見慣れているスタイルもいいと思いました。それから20年間、通勤で毎日10㎞乗っているのですが、大きな故障がないのです。しかも小さく軽いので燃費もいいから経済的です。私の大切なホンダ70になりましたので、動かなくなるまで大事に乗り続けたいと思っています」
「家族10人みんなHondaに乗っています」
「私の愛車は日本製の1982年モデルのスーパーカブです。1998年に日本から輸入された中古車なのですが、このカブが大好きで、大切に乗ってきました。よく走るし、スタイルもいいし、燃費もいい。私は道路設計のエンジニアだったから、あちこち出張が多かったので、若いときからチェコスロバキア製とか東ドイツ製のオートバイを会社から与えられて乗っていました。しかしHondaに乗ってみると、これが素晴らしい乗り心地で、故障知らずです。デザインもいいので、大好きになりましたね。Hondaのエンジニアの品質第一の技術思想は、私の考え方と一致しています。私の家は子供や孫で10人家族なのですが、みんなHondaに乗っています。妻を後ろに乗せてツーリング旅行に出かけるのが楽しい。まだまだ元気なうちは走り続けますよ」
「みんながHondaに乗る理由がよくわかりました」
「3年前に自分の最初のオートバイとしてWAVE RSXを買いました。スタイルも価格も自分に合うHondaだと思ったからです。貯金していましたが、ちょっと足りなかったので両親に少しだけ援助してもらって現金で買いました。Hondaは丈夫で壊れにくく、燃費がいいと聞いていましたが、それは本当だなと思いました。みんなHondaに乗っていますが、その理由がよくわかりました。同世代の女性の友だちの多くは、スクーターが好みなのですが、個性が強い女性はギア付きのHondaに乗っていますね。私もエレガントなスタイルのスクーターへの憧れがあるのですが、スクーターに乗るにしても、やっぱりHondaを選びます。自分のオートバイを持つと積極的に生きることができますので、ずっとHondaに乗っていたいと思います」
「初めて自分で買った愛車です」
「2017年12月15日10時頃にBLADEを買いました。この日時は忘れられません。自分が稼いだお金で初めてオートバイを買った日ですからね。これは自分の人生のひとつの成果でした。それまではバス通勤だったので、遅刻しないように早起きして朝ごはんも食べられないときがありましたが、いまは時間を有意義に使えます。最近ガールフレンドができたので、デートの日は彼女を迎えに行って後ろに乗せて遊びに行きます。私は仕事で1ヶ月に1000㎞ほど走りますので、BLADEは丈夫で燃費がいいから、とても満足しています。次はスポーツバイクのWINNERか、スクーターのPCXを買いたいと思っています」
「夫もFUTURE、2人の子供はWAVE αに乗っています」
「23歳のときにWAVEを買って乗るようになってから、オートバイで走ることが大好きになりました。2台目はFUTUREに買い換えて18年間乗りました。そのFUTUREが1000万ドン(約4万9000円)で売れたので、今年3台目としてFUTUREの新車を買ったのです。女性がスクーターを好むという気持ちはよくわかりますが、私は断然ギアチェンジが好きですね。スムーズにスピードにのれます。とくにFUTUREは125㏄だから、スピードが楽しめます。4人家族の家ですがHondaが4台あります。夫もFUTUREに乗っていて、2人の子供はどちらもWAVEαです」
「FUTUREを買いに来ました」
「今日、乗ってきたのは妻のスーパードリームです。私は20年間も大切にしていた古いドリームに乗っていたのですが、2週間前に盗まれてしまった。役所に身分証明書を作りに行ったとき、駐車場に止めたのですが、急いでいたのでチケットをもらい忘れたら盗られてしまった。最近は古いドリームの人気が高いので、狙われていたのだと思います。それで今日はFUTUREを買おうと思って販売店へ来たのです。もちろん、FUTUREを見て気に入りましたので購入の手続きをしました」
「私はHondaしか乗りません」
「最初のHondaは17歳のときに両親が就職祝いで買ってくれた日本製中古のホンダ82でした。四角のヘッドランプでした。このホンダ82が、よく走るし、丈夫で長持ちで、燃費がよかった。それですっかりHonda好きになってしまって、新車のドリームを2台乗り継いで、4台目は新車のWAVE、そして昨年は5台目の新車のBLADEを買いました。貯金をして現金で新車を買ったのですが、それまで乗っていたHondaは田舎の親戚に差し上げました。きちんと点検と修理をしていればHondaは長持ちしますから、節約好きのベトナム人のためにあるようなオートバイですね。妻は他のメーカーのスクーターに乗っていますが、私はHondaしか乗りません」