CB Stories
Honda最後の空冷直列4気筒エンジンを搭載した
トラディショナルロードスポーツ

伝統と革新の融合
2010年2月、日本でCB1100を発表しました。
CB1100は、50年以上の長い歴史をもつCBシリーズの伝統と、常に時代が求めるロードスポーツの進化を体現したモデルとして誕生しました。
2010年3月発売 CB1100<TypeⅠ>ABS (アップハンドル仕様)
開発の背景には、日本における二輪車ユーザーの嗜好の多様化がありました。
当時、大型ロードスポーツモデルは、CB1300シリーズとスーパースポーツのCBRシリーズを展開していました。そんななか、年配層のベテランライダーやリターンライダーからは、もう少しコンパクトで手軽に扱える、軽量なモデルを望む声が次第に大きくなっていきました。
こうした要望に応えるとともに、市場調査も兼ねて2007年の第40回東京モーターショーに試作車のCB1100Fを参考出品しました。
2007年 第40回東京モーターショー 参考出品車 CB1100F コンセプト
このCB1100Fコンセプトは、750cc並みのコンパクトな車体サイズに、1140㎤の空冷直列4気筒エンジンが搭載されていました。
この空冷CBは、たちまち大きな話題になり、市販化を望む声がHondaに多く寄せられました。
この大きな反響に手応えを感じた開発チームは、市販車の実現に向けて挑戦をスタートしました。
2年後の2009年、第41回東京モーターショーには、市販予定車としてCB1100を出品し、多くのユーザーの期待に応えたのです。
2009年 第41回東京モーターショー 市販予定車 CB1100
チームが定義した開発コンセプト
東京モーターショーをはじめ、さまざまなイベントを通じて、日本のユーザー動向や嗜好を調査した結果、開発チームは新世代CBにふさわしいコンセプトを導き出しました。
「大人の所有感を満たすエモーショナル空冷直4ネイキッド」です。
そして、次の3点を開発の重点項目として挙げました。
- 1. 所有する喜び、凛としたたたずまい
- 2. 味わいのあるエンジン特性
- 3. 構えずに操ることの喜びを味わえるシャーシ
1は二輪車本来の普遍性を感じる外観に、2は新設計の空冷・直列 4 気筒・ DOHCエンジンの開発に、3はコンパクトな鋼管ダブルクレードルフレームの設計に落とし込まれました。
これらにより、コンセプトに定めた「大人の所有感を満たすエモーショナル」なモデルに仕上がったのです。
所有することの喜びを表現したデザイン
デザインの領域でも、CBに息づく50年の伝統と進化を踏まえつつ、新たなCBファンの獲得を目指して、探求が行われました。
走行時の見え方だけでなく、停車したときの姿も念頭においてデザインを進めました。自然豊かな景色の中でも際立つ、凛とした佇まいを表現したかったのです。
CB1100 スケッチ
味わいのあるエンジンとして空冷を選択
CB1100のエンジンは、最高出力や最大トルクを主眼に置かず、おおらかな走行フィールを堪能できるように、あえて空冷にこだわりました。
次第に厳しくなる排出ガス規制に空冷エンジンで対応するため、先進技術を反映し、空冷・4ストローク・DOHC・4バルブ直列4気筒、1140ccの排気量をもつCB1100専用エンジンが完成しました。
外観の美しさにも徹底的にこだわりました。冷却フィンは、2mmと極めて薄い形状と奥行き感のある造形美を実現するために、工作精度に優れるロープレッシャーダイキャスト製法を採用。こうして、精緻な外観を実現しました。
燃料タンク上部から見たエンジンの外観
CB1100のエンジン部スケッチ
エミッション性能の向上には、安定した燃焼の効率化が欠かせません。エンジン内部で最も高温になりやすい排気ポートとスパークプラグ座周辺に、オイルを循環させて燃焼室回りを冷却する方式を採用しました。また、オイルクーラーの採用によって効率の高い冷却システムを実現したのです。
軽量でコンパクト設計の車体
【車体】
日本のユーザーの体格に合わせて、750cc並みのサイズを目指しました。
【フレーム】
オーソドックスな鋼管ダブルクレードルタイプを採用。空冷エンジンの造形美を際立たせる形状としました。
2010年 CB1100のフレーム構成
【ホイール】
走行時の安定感や穏やかな操舵感覚をねらい、慣性マスが大きい18インチを前後に採用。スムースで安定感のあるハンドリングを実現しました。
【シ―ト】
シート高は、足着き性を考慮し765mmに設定。ゆったりとしたライディングポジションと、スリムな車体によって、取り回しの良い車体を実現しました。
ついに欧州でも発売開始
2012年、イタリアのミラノで開催されたEICMAにおいて、CB1100が発表され、翌2013年に欧州で発売となりました。
欧州においても、嗜好の多様化に伴い、トラディショナルなCB1100の発売を望む声が高まってきたのです。
2013年 CB1100 (欧州モデル)
CB1100は熟成を重ねながら、バリエーションを増やしてファン層の拡大を図っていました。
そして2010年の誕生から11年目の2021年、排出ガス規制への対応が困難になったことで、惜しまれながら生産を終了しました。









